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退職・森本校長に「卒業証書」♪花坂小児童6人感謝
定年退職する小学校長に、児童たちが〝卒業証書〟を授与するというサプライズな「お別れ会」が、3月30日、和歌山県高野町立花坂小学校で開かれた。去りゆく同校の森本善房(もりもと・よしふさ)校長(60)は、児童たちの送別の心に感銘し、「この卒業証書は大切にわが家に飾ります」と、涙ながらに謝辞。恩師と教え子の美しい姿を呈していた。
この日〝お別れ会〟は花坂小学校・体育館で開催。森本校長と今春、九度山町立九度山小学校に転任する中野久美子(なかの・くみこ)教諭、在職する2人の教諭、児童6人(卒業1人、5年3人、4年2人)、PTA、地元関係者ら計約30人が参加して開かれた。
最初、児童や保護者らが待機する中、何も知らされていない森本校長と中野教諭が拍手に迎えられて入場。全員で校歌を斉唱。
次に国旗・校旗を掲げた正面壇上に、今春卒業したばかりの寒川桜(そうがわ・さくら)さん(12)が登壇。森本校長に「卒業証書」を手渡した。証書は児童らが総合学習で作った和紙製で、文面はPTA考案、高野山専修学院の書道講師・谷川峻光(たにがわ・しゅんこう)さん筆。寒川さんは「あなたは今まで長い教員生活を勤め上げ たくさんの子供達の育成に尽力されました 五年間ですが花坂小学校で一緒に過ごせた事を嬉しく思います」(児童 保護者一同)と読み上げた。中野教諭には感謝状が授与された。
寒川さんら児童6人は、1人ひとり森本校長に「朝夕の挨拶、うれしかった」「遠足や運動会、クリスマスがとても楽しかった」「くれぐれも体に気を付けてください」と、はなむけの言葉を述べ、中野教諭にも「一輪車の乗り方や、九九(掛け算)を教えてくれてありがとう」と頭を下げた。
これに対し、森本校長は檀上から挨拶。じっと見上げる児童6人の瞳に深く心打たれ、涙で、ほとんど言葉にはならないが、児童一人一人の名前を呼んで、その長所を言いながら、「私が皆さんに出来たのは、ほんのわずかです。皆さんは、ご両親や地域の人たち、この花坂の地で、育まれたのです」と説明。
「私の36年間の教員生活で、最後の5年間は花坂小学校であり、とても幸せでした。世界で唯一つの卒業証書、これは誠に光栄で、先ず家内に見せ、大切に家に飾ります」と、深々礼を述べていた。
この後、森本校長と中野教諭、児童らが仲良く記念撮影。森本校長の第二の人生の門出を祝い、お互いの頑張りを誓い合った。
写真(上)は花坂小学校の児童代表・寒川桜さんから「卒業証書」を授与される森川校長。写真(中)は森本校長や中野教諭に感謝の言葉を述べる教え子たち。写真(下)は森川校長や中野教諭と記念撮影する花坂小学校の児童や卒業生たち。