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里桜も笑顔も満開~古里・湯川で50人再会
和歌山県高野町湯川地区にある1本の里桜が満開になった4月29日、地元や離村した湯川出身者ら約50人が集まり、花見会を開いて再会を喜び合った。
湯川(上湯川、下湯川)地区は、1953年(昭和28)7月18日の紀州大水害で、耕地の75パーセントを失うなどして人口が激減。小学校も8年前に廃校となった。
里桜は樹齢45年といわれ、高さ約5メートル、枝張りは約20メートルとかなり大きい。木の根元には地蔵尊が祭られていることから、地元では「地蔵桜」と呼んでいる。
花見会は、地蔵桜のもとに湯川在住者と、村を離れたひとたちとが一堂に集まり、楽しく過ごせたらと、西浦孝(にしうら・たかし)湯川区長が提唱して実現。毎年、桜が満開を迎える頃に開かれ、今年で15回目。村が一番にぎわうときでもある。
この日、離村した和歌山県九度山町や橋本市、遠く千葉県などで暮らす人たちが、紀ノ川に注ぐ湯古川沿いの険しい林道を車で来訪。桜下に敷かれたシートに座って「お互い元気でよかったな」とか「私のこと忘れたらあかんや」などと、笑いながら、持ち寄った寿司や卵焼きなど、自家製の料理を食べながら談笑。こんな場面をデジカメに残そうと、盛んにシャッターを切る参加者もいた。
湯川を離れて50年以上になるという大阪市平野区に住む佃豊子(つくだ・とよこ)さん(69)は「思い出がいっぱいあって懐かしい」といい、花見会の世話役をしている西雄二(にし・ゆうじ)さん(64)の娘で、結婚して千葉県浦安市に住む国政綾子(くにまさ・あやこ)さん(36)は「いつも桜の咲く頃に帰ってきます。にぎやかで楽しいです」と話していた。
最後に花見会のハイライト「お菓子ともち投げ」を行い、「また、来年も会おうね」と、声をかけあって終わった。
写真(上)は満開になった湯川の里桜。写真(中)は「思い出に」とみんなで記念撮影。写真(下)はハイライトの「お菓子ともち投げ」。
(フォトライター 北森久雄)