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〝戦争文庫〟107冊返らず~???橋本駅の図書館
和歌山県橋本市のJR南海橋本駅にある「ゆかいな図書館」で開かれていた、太平洋戦争に関する図書を集めた「戦争文庫」は、8月31日に幕を閉じたが、本棚に並べていた200冊のうち、107冊が返却されていないことが分かった。図書館世話人の阪口繁昭さん(83)は「次は4年後の〝戦後70年記念・戦争文庫〟を予定しています。できたら、その日のためにも返却をお願いします」と訴えている。
「ゆかいな図書館」は、小説や詩などの文庫本、単行本など約1500冊を並べる。あくまでも読者の良識を信じ、図書の持ち帰り、返却を自由にしている。このため、返却されない分については、全国から届けられる〝寄贈本〟で補充している。
先の大戦で、満蒙開拓義勇少年隊に入隊、九死一生を得て帰国した阪口さんは、寄贈本の中から、戦争に関する図書だけを選別。終戦記念日(8月15日)をはさんだ8月中、戦争文庫を開いた。
その結果、図書館利用者は、平素の20パーセント増で、とくに〝戦争文庫〟の利用者は60代以上が多かった。長時間、館内の椅子に座り、涙ながらに読むお年寄りや、〝持ち帰り自由〟な仕組みを知らないで、「ほんとうにいいのですか」と、大事そうに言う女性もいた。
31日、戦争文庫をしまい、一般図書と交換する際、戦争に関する図書が93冊しか残っていないことを確認。そのことからも、読者がそれぞれ、戦争の悲惨さ、平和の素晴らしさを感じ、この企画が好評だったことを物語った。
阪口さんは「戻っていない107冊は、その本に特別な思いを持っておられるからでしょう。貴重な宝として、大切に保管してくれるのなら、それで結構です。もしも、そうでなければ、返却をお願いします」と訴えていた。