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橋本駅で〝戦争文庫〟200冊~8月「読んでね」
戦争に関する図書ばかりを集めた「戦争文庫」が、終戦記念日(8月15日)前後の8月1日~同31日、和歌山県橋本市のJR南海橋本駅にある「ゆかいな図書館」で、初めて開かれる。図書館世話人の阪口繁昭さん(83)は「全国の〝善意の人〟から贈られた貴重な本ばかり。戦争の悲惨さ、愚かさを知ってもらえたら」と、来館を呼びかけている。
この図書館は1998年9月、駅の待合室を改造してオープン。今年3月、駅のバリアフリー化工事で、改札口近くの通路わきに改築移転した。本棚には、小説や詩など文庫本や単行本を中心に約1500冊を並べ、持ち帰り自由、自己責任で返却する仕組み。このため、図書は減る一方だが、全国の〝善意の人〟から、家庭で不要になった図書が、駅や阪口さん宅に続々と贈られ、それを補充して、運営が続けられてきた。
阪口さんは、戦時中の、満蒙開拓少年義勇軍の一員。中ソ国境で頭に被弾、耳が不自由になり、捕虜としてシベリアに抑留され、九死に一生を得て帰国した経験を持つ。「寄贈図書の中には、貴重な戦争関係の図書もあり、〝戦争文庫〟を開きたいと考え、分別・整理してきました。当初100冊の予定でしたが、その倍の約200冊が集まりました」と言う。
図書は、特攻隊員と母娘のことを綴る「ホタル帰る」(赤羽礼子さん、石井宏さん著)や、満蒙開拓少年義勇軍の子どもたちのことを記した「先生、忘れないで!」(陳野守正さん著)、和歌山市空襲について証言する「炎と叫喚の記録」(創価学会青年部反戦出版委員会)など、とくに、戦争を知らない世代にとっては、希少価値の高い、必読書ばかり。
阪口さんは、戦争文庫の図書は、一時「持ち出し厳禁」にと考えましたが、やはり利用者の善意を信じて、「持ち帰り自由」にします。ただし、『必ずお返しください』と、張り紙することにした。
また、館内には、「25戦犯へ最後の判断」「判決通り処刑せよ」「マ元帥(マッカーサー)宣告を確認」の見出しが躍る1948年(昭和23)11月25日付けの「輿論新聞」1面を掲示。当時の一端を感じてもらう。
阪口さんは「日本が太平洋戦争に、どう突入していったか、それが、結果的に、どんなに無残なことになったか、どうすれば、人類の幸せを築けるのか、読書の中から考えてほしい」と訴えている。