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万葉「妹背山」体験いかが~今秋、吟行や自然観察…
今秋、万葉人の歩いた道を歩き、万葉人の立った山から、紀ノ川を眺めませんか…。和歌山県かつらぎ町高田の「笠田万葉サークル」(木村哲也代表)は、万葉集の歌枕として名高い地元の妹背山(いもせやま)で、10月16日、「自然観察会」を開く。参加自由で無料。木村代表は「自然いっぱいなので、一度来てみてください。万葉人の気持ちがわかります」と手招きしている。
JR西日本和歌山支社、かつらぎ町観光協会などが後援。
妹背山は「我妹子(わぎもこ)に我が恋ひ行けばともしくも並び居るかも妹と背の山」(都に残してきたあの娘を恋しく思いながら、紀伊路を歩いていくと、うらやましくも仲むつまじく並んでいることよ。この妹と背の山は=作者未詳)などと歌われ、遠望するとラクダの背中のように頂(いただき)が2つ見える。
その山上には、木村代表の開いた「万葉桟敷(さじき)」があり、そこにはクスノキやエノキ、クヌギなどが生い茂り、昆虫がいっぱい。ビワやミカン、柿なども実る。木々にはヤマガラ、コジュケイ、ホトトギスなどの野鳥が棲み、秋には赤とんぼが乱舞する。
眼下には紀ノ川が流れ、その向こうに通称〝紀州富士〟と呼ばれる竜門山、さらに飯盛山が眺められる。桟敷付近には、古代人が歩いた「南海道」が、今では今は獣(けもの)道)のかたちで残っている。
参加者は当日午前9時20分、JR和歌山線・西笠田駅に集合。「万葉桟敷」(標高約120メートル)まで0・5キロ、ゆっくり徒歩で約15分。万葉植物の研究家で紀伊風土記の丘学芸員の山元晃さん、同じく全国万葉協会役員の馬場吉久さん、笠田万葉サークル主任講師で近畿大文芸学部教授の村瀬憲夫さんらが参加する予定。
「万葉桟敷」では、「懇談」「自然観察」「創作活動」の3グループに分かれ、南海道や万葉集と妹背山について懇談。臨場感のある俳句や短歌づくり、絵画制作を楽しむ。南海道を自分の足で踏みしめ、野鳥、昆虫、草木花をしっかり見る。桟敷からの写真撮影に挑む。
持ち物は弁当、趣味創作などに必要なもの各自持参。保護者同伴の場合は小学生以上の参加OK。
木村さんは「古代人の道など、滅多に歩けません。桟敷にいると、いい秋風が吹くし、雲は刻々と変わるし、野鳥がさえずる。子供たちにとっては、得がたい自然体験だし、文芸や絵画、写真を愛する方々には、絶好の場所かと思います」と推奨。
また、「ここで生まれた作品は、将来、JR橋本駅か和歌山駅で、展覧会を開催することも考えています」と言っている。問い合わせは木村代表(090・8232・5971)。