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ひきこもり〟に温かい眼差しを~橋本で講演会
ひきこもり支援サークル「とらいあんぐる」(和歌山県橋本市清水546=楠本田鶴子代表)主催の、橋本市民活動支援事業「講演会」が6月26日、同市東家の橋本市教育文化会館3階第1研修室で開かれた。会場は市民ら100数十人で満員になり、この問題への関心の深さを感じさせた。楠本代表は「皆さんとともに、ひきこもりの青年たちと、家族の力になりたい」と訴えている。
先ず、「音たまご合唱隊」(花岡美貴子隊長、児童ら13人)が賛助出演。「お空のおじいちゃん」(上土谷茜さん作詩、花岡さん作曲)などを合唱し、メンバーの高野桃子さんが「さくらさくら」で日本舞踊を披露、富岡菜乃子さんがショパンの幻想即興曲をピアノ演奏。大きな拍手を浴びた。
楠本代表が「東日本大震災では、被災地に多くの若者がボランティアで活躍していて、日本はまだまだ大丈夫と、ほっとする反面、社会の大きな波に押しつぶされそうになった、しんどい若者たちも多くいます」と実情を紹介。元・和歌山市立小倉小学校長で、わが国で真っ先にひきこもり問題に取り組んだNPO法人「エルシティオ」理事長・金城清弘さんが、「ひきこもる若者たちとかかわって」と題して講演した。
金城さんは「ひきこもりは、何らかの理由で心がつぶれ、体が壊れそうになり、そこで自分を守るために、最も信頼できる家にこもる訳です」と説明。それは小学校の入学時からや、40歳でもあることや、ひきこもりは、風呂に入らない、ものを言わない、目を合わさない、明るい所をきらう、物音に敏感になる、果ては暴力をふるう。「ひきこもりは、自分を守ろうと、家にいるのに、親御さんは、ついつい、外出せよ、学校へ行け、働けと迫る」と、対応のまずさを指摘。また、就職難の時代、ある大学生が就職活動で約30社から拒否されて、悩んでいる例を紹介。「子どもや親御さんが、相談するところもない」と強調。「これを機会に橋本市内にも『居場所』を設けて、施設とサポーターを作りあげてほしい」と結んだ。
次回は、11月26日午後1時半~午後4時、同会館に山本耕平・立命館大学教授を講師に招いて、講演会を開催する予定。
ひきこもり支援サークル「とらいあんぐる」では、同サークルの紹介文に、「居場所」として「ちょっと外へ出て行きたいけど、行く場所がない、うろうろしていると周囲の目が気になるなど、ひきこもりの状態になると、気軽に立ち寄れる場所がありません。『ゆっくりとした空間で、のんびりと過ごしながら、少しずつ社会との接点を作っていける』そんな居場所になればと考えています」と説明。
また、「相談」として「ひきこもりのことを相談する場所が少なく、どこに行けばいいのか、どこに相談すればいいのかわからないという声を多くの保護者の方や本人から聞きます。また『どうしよう』『イライラする』『何かしたいが、どうすればいいのかわからない』など、本人や家族だけで悩んでいても、ひきこもりの問題はなかなか解決しません。悩みを抱えた方々から話を聞き、共に考えていきたいとおもいます」と書いている。
さらに「「ネットワーク」として「一つの機関や部署だけでは、解決するのが困難になります。さまざまな関係機関と連携し、問題解決に向けてのネットワーク作りをしたいと考えています」と述べ、「外出サポート」として「ひきこもりの人にとって外出するのは勇気のいることです。『思い切って、どこかに行きたい』という方はサポートを必要としています。そんな方の支えになりたいと考えています」と訴えている。
なお、同サークルは、毎月第4水曜日の午後7時から、「とらいあんぐる」で、交流会を開催。家族に「ひきこもり」の子弟を持つ人たちが集まり、お互いの悩みや、取り組みを話し合い、情報を交換している。楠本代表は「ひきこもりに対する温かい眼差しや、若者の職場体験への協力、バザーの物品提供など、支援をお願いします」と言っている。