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威風堂々モミジ巨樹~昔、紙漉きの里・下古沢

わが母にまさる母なし梅雨の巨樹 (水津順風)
日増しに緑深まる梅雨の季節…、和歌山県九度山町下古沢の、浦部久守男さん(65)方の庭で、樹齢約400年の「モミジの巨樹」が、無数の見事な葉を茂らせ、威風堂々たる姿を見せている。
浦部さん方は、山腹の高台を走る南海高野線・下古沢駅のふもとにある。下古沢は昔から高野紙作りの本場。それぞれの家のそばに作業場があり、そこで楮(こうぞ)の繊維などを使って、紙を漉(す)き、高野山の寺院に、襖(ふすま)や障子用として、納入してきた。それも今は、紙の大量生産に押され、約5年前に途絶えてしまっている。
浦部さん方にも、紙漉き作業場(木造一部2階建て)が残っていて、「モミジの巨樹」は、その隣にしっかり根を張り、浦部さん方の紙漉きの歴史を、ずっとながめてきた。
「モミジの巨樹」は、高さ約8メートル、枝張り約6メートル、幹周り約2メートルの大きさ。無数の葉は、山あいの日の光を浴び、地中深く張りめぐらした根は、そばの不動谷川の水を吸い上げている。浦部さんも、枝葉を剪定して、この樹に心を捧げてきた。また、春は新緑、夏は緑陰、秋は紅葉、冬は雪化粧の姿を、丹念にカメラで撮影し、パソコンを使って、大切に保存している。
浦部さんは「子どもの頃、この樹(き)に登って、よく遊びました。そこの作業場の窓からは、紙を漉く母の姿を、よく見ましたよ。その母も、2年前に亡くしましたが、この樹とともにしっかり覚えています」と、懐かしそうに見上げていた。

更新日:2011年6月12日 日曜日 09:39

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