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「戦争、絶対ダメ!」~米軍銃撃犠牲者・遺族の証言文

第2次世界大戦中、和歌山県橋本市のJR・南海橋本駅で、米軍機の銃撃で犠牲になった市民6人の慰霊碑を建立した、橋本市傷痍軍人会会長の阪口繁昭(さかぐち・しげあき)さん(86)は、このほど同市高野口町の構造改善センターで開かれた「サロン田園」で、その遺族2人の戦争体験(証言)などを紹介し、「戦争は繰り返さないように、次世代に訴えよう」と力説した。
橋本駅・空襲は、昭和20年(1945)7月24日朝、米軍・艦載機が飛来。駅舎や停車中の松根油(しょうこんゆ)入りタンクを積んだ貨物列車に機銃掃射。タンクが爆発、銃弾を浴びた市民が死傷した。
この事実は、阪口さんの長年の聞き取り調査で明らかになり、阪口さんが代表を務める「米軍銃撃犠牲者追悼の会」は、平成23年(2011)、JRと交渉して、無数の銃弾跡が残る橋本駅・跨線橋(こせんきょう)の板壁などを地元の丸山公園に移設。
そこに「橋本駅米軍艦載機銃撃犠牲者追悼の碑」=犠牲者・平林靖敏(ひらばやし・やすとし)さん(15)、恋中圭一(こいなか・けいいち)さん(47)、山本稔(やまもと・みのる)さん(38)、 菅野廣雄(すがの・ひろお)さん(19)、海立節子(かいだて・せつこ)さん(20)、坂上貢(さかうえ・みつぐ)さん(14)=を建立。毎夏「追悼の集い」を営んできた。
今回、阪口さんは「サロン田園」に集まった10数人の高齢者に対し、自身が満蒙開拓義勇軍として中国を転戦、辛く厳しかったシベリア抑留体験を語るとともに、橋本駅の米軍銃撃・犠牲者の遺族2人の戦争証言を紹介。阪口さんが「戦争の悲惨さと、戦争を2度と繰り返さないよう、孫子の代へ伝えてほしい」と訴えると、参加者らは大きく頷いていた。
以下は、その証言内容。
▽坂上さんの妹、房和代(ふさ・かずよ)さんの記述=「貢 兄さんの死~記憶をたどって 平成20年7月 病床にて記す」として、「今日も暑い日になりそうだ。紀見峠の駅には、通学の男女学生が下り電車を待っていた。駅員の馬場さんと松山さんは、私たちを兄弟のように、たしなめたり、おだてたり、駅は溜まり場で、学生らも兄弟のように声をかけあう。突然、サイレンの音、学校は空襲警報で生徒を帰宅させることになっていたので、学校に向わずに帰宅。朝来た道を戻り、柱本国民学校の前までくると、近所の久保さんが「和代ちゃん…」と口篭もって「今、お父さんが、お母さんを自転車に乗せて下ったで…」、悪い予感で、胸騒ぎした。
兄は、朝早く九度山に行くと家を出た。兄たち伊都中学三年生は、学徒動員で松根油を絞りに九度山へ行っていた。たまたま、橋本駅前の広場には、出征する兵隊さんの見送りで、沢山の人が集まられていたとか。
アメリカの艦載機が機銃掃射してきたとき、駅にいた兄は貨車の陰に隠れたようだが、運悪く弾に当たり、この世を去った。十五歳の生涯だった。兄と私は仲良しだった。喧嘩などしたことなく、やさしかった。学校で両親あての遺言状を書かされたのが残っている。
焼け付くような暑さの中、担任の大歳先生がクラスの生徒十五・六人連れて葬儀に来て下さった。軍服のような制服を着た兄の友達は、皆、無言だった」
▽平林さんの弟、久長(ひさなが)さんの記述=「両親から聞いた話ですが、当日、兄が大阪の中学校へ登校のため、朝7時過ぎ4、5人の友達と橋本駅へ向かいましたが、警戒警報から空襲警報に変わって、一度自宅へ帰ってきました。その後、9時頃、警戒警報に変わり、1人で少しでも早く学校へ行けるようにと、橋本駅へ向かったそうです。そして、駅のホームで3人(私の兄と山本様、お名前のわからない方)が、立って電車が来るのを待っていたところへ、アメリカ軍機が、機関銃で攻撃してきました。
兄は胸を貫通され、即死。隣の人は無事だったと聞いています。山本様は脚を貫通されて、後に亡くなられました。同時に恋中様は桟橋(跨線橋)で死亡、中学生の坂上様は機関車の下で死亡、もう一人女性も死亡したそうです。
母と私たちは、家の中で、上の方でアメリカ軍機の機関銃のバリバリという音を聞き、表へ裏へと逃げ回っておりました。その後、道路へ出ると、機関銃の薬きょうと弾の後がくっきりと残っておりました。
まさか、兄が死亡しているとは知らず、その後、妹たちと向副の竹薮へ避難しておりましたが、駅の方を見ると、火柱が上がり、ドラム缶が小さくマッチ箱の大きさになって飛び上がっておりました。
私は兄二人を戦争で亡くしております。だから戦争は二度と御免です」
阪口さんは、「これら証言文を、公共施設などで永久保存したい」と言っている。
写真(上)は橋本駅・銃撃犠牲者の冥福を祈る遺族関係者ら。写真(中)は同犠牲者・遺族の証言文を説明する阪口さん。写真(下)は銃撃跡が残る板壁の前に設けられた犠牲者の追悼の碑。

更新日:2015年3月24日 火曜日 00:29

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