特集

「車イスの妻 日記」介護の夫は発表すべし?

橋本市の喫茶店で

発信機「お父ちゃん(ご主人)元気?」

ゴルフッピー「おかげさまで。犬つれて、散歩してるわ」

発信機「糖尿病いうたら、痛みがないから、怖いね。ついつい油断してしまう。私は尿酸値が高くてね。いわゆる通風ですよ。」

ゴルフッピー「痛いんやろ」

発信機「そりゃあもう。ネズミに足の指、噛まれているようなもんです。通風って、風が痛いって書くでしょう。あれね、部屋で養生しているときに、誰かが見舞いに来る。ドアを開ける。患者は『ひえーっ、動かんといて』と叫びます。風が動いても、足の指が痛いんです」

ゴルフッピー「ひえーっ、そんなに」

発信機「そうですよ。指の関節あたりで、血液の中から無数の針の結晶ができて、心臓がドキドキと鼓動を打つたびに、神経にズキンズキンと突き刺さる。寝とっても、痛いんです」

ゴルフッピー「痛いから、養生する。糖尿病は痛くないから、不養生になり、脳梗塞で倒れたり、足を切断する羽目になったり…」

発信機「そうです。そうです。私は、あの痛さで、こうして助かっています」

ゴルフッピー「それはそうと、奥さん、調子どうですか」

発信機「おかげさまで。女房も糖尿病でしたよ。脳梗塞で倒れたのも、血液がどろどろになっていたからです。脳の細い血管に、血液が詰まったわけですね」

ゴルフッピー「大変でしたね」

発信機「いやー、びっくりしましたよ。もう3年半も前になります。週末、単身赴任の橋本から、和歌山の我が家に帰ったら、女房がいない。当時、認知症が始まっていましたから、心配で、あちこち探したが、見つからない。まあ、そのうち帰ってくるやろ、と洗濯機を回していたら。電話が鳴りました。『もしもし、発信機さんですか。お宅の奥さん、脳梗塞で倒れ、救急車で、うち(和歌山の病院)へ運ばれました。至急、来てください』という。あわてましたよ」

ゴルフッピー「助かって、良かったですね」

発信機「はい。女房は、近所の歩道で倒れましたが、昼間で人通りが多い、すぐ近くに消防署がある。そのうえ、倒れて3時間以内なら使える特効薬が開発されていました。私もちょうどいい時間に帰宅できたものですから、まあ、奇跡というべきです」

ゴルフッピー「ありがたいですね。うち(主人)も、日増しに元気を回復して、ありがたいです。それで、相変わらず、奥さんのところへ、通っているの?」

発信機「はい。特別養護老人ホームへね。毎日2回、盆も正月もありません。女房は、右半身不随で、言語全滅ですから、車イス生活です。それで、食事介助とリハビリをやります。1日3時間かかりますね」

ゴルフッピー「発信機さんのことは、前から聞いてますが、ようやりますね。施設に任せといてもいいのでは?」

発信機「たしかに。医師、看護師、介護士、みなさんよくしてくれます。しかしね、やっぱり、ちゃんとお父ちゃん(亭主)の顔を見せて、お父ちゃん自ら食事を与え、お父ちゃん自ら、全身をマッサージする。笑顔を見せ、声をかける。これ、大事なんですよ」

ゴルフッピー「すごいわね」

発信機「すごくもなんにもないよ。垢の他人さまにするんなら、そりゃあ、偉いけど、家族で、しかも女房でしょう。自分で体を動かすことも、しゃべることもできんようになった女房を、とてもとても、ほっとけるものではありません」

ゴルフッピー「それでもね。奥さんが主人の世話をすることはよくある話。でも、主人が奥さんを世話する話は、あまり聞かないわよ」

発信機「いやーっ、私の知り合いは、みんな、こう口をそろえるよ。『発信機さんよ、お前さん、これまで、よっぽど、奥さん、泣かして、きたやろ。お前の熱心さ見たら、はっきり、ようわかる』とね。いやー、これは、みんな誤解してるよ。女房が元気なときは、表で豪勢にやってたただ。車イス生活の姿を見たら、180度変わんのんは、あたりまえです」

ゴルフッピー「それで、奥さん、どんな状態?」

発信機「3年前は、口に食事を差し出しても、口をあけない。そこで、橋本市民病院で胃ろう(胃に食事を通すための穴を開け器具を取り付けたもの)を作りました。施設に変わった頃から、少しずつ、口から食べるようになり、今は朝、昼、晩と、3食とも、口から流動食を食べるように…。半年に一度、胃ろうの器具交換をしていましたか、最近、胃ろうをふさぎました。表情も生き生きして、私の顔を見て、笑ってくれます」

発信機「そう。発信機さんの献身的な努力りおかげやわ。発信機さん、その話、それを日記にして、ネット新聞に流してくださいよ。読みたいわ」

発信機「いやいや、個人的なことやからね。それに、家族に献身的に尽くして居られる方は、世の中、いくらでも居られる。とてもとても、おこがましくて…」

ゴルフッピー「そんなことないわよ。世の中には、もちろん、いろんな苦労して居られる方がわんさと居られます。でも、自分と同じ苦労をしている人が居る、こんなに頑張っている、私も頑張らないと、と、慰めにも、励ましにも、なるんです。個人的にことだけで、済ませてはダメですよ」

発信機「ふーむ。なるほどね。ほんまにね。じっくり考えてみるよ」

(登場人物はニックネームです)


更新日:2011年3月9日 水曜日 15:02

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