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五輪塔を胸に地蔵尊♡高野山女人道~倉田さん発見
弘法大師・空海が開いた和歌山県高野町の世界遺産・高野山の参詣道で、森林セラピーインストラクター・倉田美佐子(くらた・みさこ)さんが、五輪塔を胸にした珍しい地蔵尊を発見した。
仏教で五輪塔は宇宙の象徴とされ、倉田さんは「誰がいつ建立したのか。仏心を持つ尊さや、建立者の思いが伝わってきます」と話している。
ここは弘法大師・空海が入定している高野山奥の院・御廟(ごびょう)の裏手を通る女人道沿い。地蔵尊(高さ約20センチ)は、1000年杉の根元で座禅を組み、両手で五輪塔を抱えて両眼を見開いている。
近くでは掌(てのひら)に如意宝珠(にょいほうじゅ)をかざした地蔵尊や、小さな五輪塔なども建ち並び、いずれも弘法大師・空海の居られる御廟や、遥かなる西方浄土の方角を仰いでいた。
倉田さんは、植物や野鳥の研究者と、高野山一帯をよく歩き、これまで無数の地蔵尊を眺めてきたが、6月上旬には、五輪塔を胸にした地蔵尊と出会い、「こんな素敵な姿を見たのは初めて」という。
五輪塔は供養塔、または墓石で、その形は下から地(四角形)、水(円形)、火(三角形)、風(半月形)、空(宝珠形)をあらわし、宇宙を象徴している。
この地蔵尊が建つ女人道は明治5年(1872)、これまでの「女人禁制」が解かれるまで、多くの女性たちが高野山・女人堂まで往来して、心を天に通わせてきたところ。
倉田さんは、「これは貴重な記録写真になるのでは」と知り合いのフォトライターに紹介。「五輪塔を抱えるとは、心のこもったお地蔵様で、とてもうれしくなります」とひざまずき、手を合わせていた。
写真(上)は五輪塔を抱えた地蔵尊。写真(中)は地蔵尊に手を合わせる倉田さん。写真(下)は五輪塔を抱えた地蔵尊と五輪塔そのもの。