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交通事故、ヒトゴトでない!劇団まさし部が啓発演劇
高齢者とその家族の幸せを願って、和歌山県立橋本高校・演劇部出身の大学生らでつくる劇団「まさし部」は11月24日、橋本市隅田町の同市東部コミュニティセンターで、新作の交通安全啓発劇「ヒトゴト」を披露した。
橋本警察署管内安全・安心まちづくり推進協議会=酒向征時(さこう・せいじ)会長=の主催で、先ず同署生活安全係の坂本康夫(さかもと・やすお)警部補が、上演趣旨や出演者を紹介した。
キャストは劇団「まさし部」の木田汐音(きだ・しおね)さん、大萩善道(おおはぎ・よしと)さん、西田楓華(にしだ・ふうか)さん=いずれも大学2年生=と、橋本署員の井戸裕仁(いど・ゆうと)さん。
演劇「ヒトゴト」は木田さん作、大萩さん演出で、西田さんが音響、同学年の森田千晴(もりた・ちはる)さんらが照明を担当した。
本番では、会社員の夫(大萩さん)と妻(木田さん)が、田舎の実家で車を運転している祖母の大切な命を思い悩む。畑仕事や買い物など、祖母の日常生活を考えると、「運転免許証の返納」などは到底無理である。
その解決方法について、食事やドライブなど日々の暮らしの中で、夫婦が必死に話し合う。結局「このまま放置して、事故が起きてからでは遅い」と決断し、夫は直ちに退社、実家で畑仕事をしながら、妻と共に祖母を守る道を選ぶ…というストーリー。
約1時間、現代の高齢社会とその家族の葛藤(かっとう)を巧みに演じると、会場は「まったく〝ひとごと〟ではない」という雰囲気に包まれ、大きな拍手が起きていた。
今回の啓発劇を依頼した同安全・安心まちづくり推進協議会は、劇団「まさし部」に寸志を贈って感謝すると共に、酒向会長が「今後の活躍を期待しています」と激励。最後に松山雅昭(まつやま・まさあき)幹事が終演挨拶をして締めくくった。
橋本高校・演劇部は平成28年(2016)の「和歌山県高校演劇祭」で、日本人女性初のオリンピック水泳金メダリスト・橋本市名誉市民の前畑秀子(まえはた・ひでこ)さん(1914~95年)の少女時代を描いたオリジナル演劇「紀ノ川の少女」を上演。優秀賞や創作脚本賞を受賞している。
木田さんらは「これまで培(つちか)った演劇活動を生かし、ふる里・橋本の良さをアピールしよう」と昨年4月、劇団「まさし部」を結成。すでに同推進協議会主催の詐欺被害防止・啓発劇を公演し、「素敵な学生たち」と喝采を浴びている。
写真(上、中)は祖母や人々の大切な命の大切さを考え運転免許証の返納の是非を語り合う夫婦(木田さん、大萩さん)。写真(下)は最後に舞台挨拶する「劇団まさし部」の面々。