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見えた!中秋の名月♪妙楽寺で勤行・観月コンサート
和歌山県橋本市東家の真言律宗・妙楽寺=岩西彰真(いわにし・しょうしん)住職=の境内で、9月24日夜、中秋の名月と重陽の節句を兼ねた「勤行・観月・コンサート」が開かれた。曇天(どんてん)の中、時折、満月が見え隠れし、箏や尺八の音が流れて、集まった約30人の善男善女は、心にしみる日本情緒を堪能していた。
同寺は奈良・西大寺の末寺。嵯峨天皇の勅願により、弘仁11年(820)に弘法大師が開創。姪(めい)の如一尼(にょいちに)が初代住職を務めた古刹(こさつ)。
今、本堂は老朽・撤去して存在しないが、鐘楼門は宝暦9年(1759)建造の趣(おもむき)を残している。
この夜、岩西住職は先ず善男善女と共に寺内で般若心経を唱和した後、満月を描いた掛け軸「月輪観(がちりんかん)本尊」を指差して、「月輪観とは、清らかな月を見つめて〝わが心は月輪〟と感じ、さらに月輪となった心を無限に広げて〝宇宙即ちわが心〟を体得すること」と説明した。
境内にはろうそくが灯り、萩薄(はぎ・すすき)、団子や果物が供えられている。
やがて鐘楼門の下に、地元出身の筝曲家・山田裕子(ひろこ)さん、長女の歌手・美来(みく)さん、世界的な女性尺八奏者・辻本好美(つじもと・よしみ)さんを育てた父・公平(こうへい)さんが登場。
山田さんと辻本さんは「上弦の曲」「朧月夜」「荒城の月」などを箏・尺八で演奏し、美来さんは自作の「心音(こころおと)」などを、箏・尺八に乗せて声高らかに歌うと、会場から大きな拍手が起き、やがて全員で「ふるさと」の合唱を楽しんでいた。
しめくくりは菊酒(きくざけ)の回し飲みで、善男善女は菊酒を味わったり、月見団子をほお張ったり。あたりは闇夜だったが、時折、あつい雲間から満月が現れて、鈴虫、こおろぎ、轡虫(くつわむし)の声が届き、夢のような秋の夜のひとときを過ごしていた。
写真(上)は妙楽寺の鐘楼門下で開かれた「勤行・観月・コンサート」。写真(中)は雲間から現れた中秋の名月。写真(した)は母の山田裕子さんの箏演奏で歌う長女・美来さん。