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高野山の文化財守ろう!国宝不動堂・蓮池で消火訓練
「文化財防火デー」の1月26日、世界遺産・高野山真言宗総本山・金剛峯寺の壇上伽藍(だんじょうがらん=和歌山県高野町)にある国宝・不動堂わきのの蓮池(はすいけ)で、山内一大掛かりな消火訓練が行われた。
同町の教育委員会と消防本部が主催、金剛峯寺、同町消防団、県警高野幹部交番、高野山文化財保存会の共催で、金剛峯寺自衛消防隊や町消防団・本部などから、消防車など7台とパトカー1台が出動、消防団員ら約70人が参加した。
この日午後1時半頃の高野山の気温は氷点下5・7度、約30センチの積雪。大伽藍の不動堂や根本大塔なども深々と雪化粧。樹林は雪をかぶり、時折、大きく吹雪tZ(ふぶ)くと落雪が起き、あたりは雪けむりで見えなくなる。
先ず消防車などの隊列が金剛峯寺前を出発。壇上伽藍の周辺を巡って啓発パレード。「火の元に注意し、文化財を守ろう」と訴えて回った。
この後、蓮池の輪橋(りんきょう)のたもとで、発煙筒をたくと、赤い煙があたりを包む。間もなく、サイレンの音もけたたましく駆け付けた消防車が、近くの消火栓にホースをつないで、輪橋や池畔から一斉放水すると、水は上空へ飛び、勢いよく放物線を描いていた。
訓練の後、消防隊員ら全員が、壇上伽藍・中門(ちゅうもん)前に整列。この日は昭和24年(1949)に奈良・法隆寺の金堂壁画が焼損したことから、日本に定めた「文化財防火デー」である。
高野町の角濱正和(かどはま・まさかず)教育長と、高野山・金剛峯寺の長谷部真道(はせべ・しんどう)総務部長は、「弘法大師の御心がしみついた高野山の環境、大切な文化財を守ってください」と挨拶、厳しい雪中訓練に謝辞を述べていた。
写真(上)は防火啓発を行う消防車の隊列=金剛峯寺前で。写真(中)は発煙筒の煙が赤くなる中、蓮池の輪橋などから国宝・不動堂方面へ向けて放水する消防団員ら。写真(下)は壇上伽藍・中門に整列し角濱教育長や長谷部総務部長の挨拶を聴く消防団員ら。