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幸村出陣のミニ衝立♪工場焼失の池田さん奮起制作へ
和歌山県橋本市東家の木工芸家・池田秀峯(いけだ・しゅうほう)さん(69)は、先日、近隣火災に巻き込まれ、木工工場と多くの逸品を焼失したが、火災前に制作していた戦国武将「真田幸村のミニ衝立(ついたて)」2作品が、知人宅で無事保存され、類焼を免れていたことがわかった。そこで池田さんは5月28日、「真田幸村のミニ衝立」の制作再開を「火災後の初仕事にしたい」と決心。近く仕事にとりかかり、できれば6月13日(月)から幸村の里・九度山町などで「みやげもの」として販売したいとしている。
類焼を免れたミニ衝立は、大・小2種類あり、「小」は縦約23センチ、横約28センチ。「大」は同25センチ、同40センチのいずれも高野ヒノキ製。「小」には「疾風 真田幸村 大坂夏の陣」と記し、幸村が〝真田の赤備え〟の甲冑(かっちゅう)姿で白馬にまたがり、大坂城から出陣、「大」には馬上の幸村らの隊列が鬨(とき)の声を上げて出陣する絵画で装飾。その下部には陶芸で真田家・家紋の旗印「六文銭」の小さな焼物を取り付けている。
この「大」「小」作品は、和歌山県の伝統的工芸品・紀州高野組子細工・作者の池田さんが高野ヒノキ材に凹凸を入れて、衝立本体をシンプルに制作。勇壮な出陣光景画は、彫板画(ちょうはんが)創始者の田村茂(たむら・しげる)さん(大阪府岸和田市)が描いた。
池田さんと田村さんは今年1月、「椎出(しいで)鬼の舞」で名高い、九度山町の椎出厳島(いつくしま)神社別当寺・高野山真言宗・地蔵寺に天井画「地蔵昇龍(じぞうしょうりゅう)」を奉納するなどコラボ活動。
今回の「真田幸村ミニ衝立」の2作品も、池田さんと田村さんらが、NHK大河ドラマ「真田丸」で盛り上がる〝幸村の里〟で、去る5月7、8両日行われた「真田祭り」でおみやげ品として販売しようと、とりあえず「大」「小」計22作品を制作。田村さんは各1作品をアトリエに保存、池田さんは各10作品を木工工場に置いていた。
ところが5月4日白昼の近隣火災で、木工工場と逸品「風神・雷神」屏風をはじめ、この「真田幸村ミニ衝立」も灰燼(かいじん)に帰した。幸い、田村さん宅に置いていた2作品は無事残ったので、池田さんは仕事復活・初仕事として、今回「おみやげ」にふさわしい「小」作品を50個作ることにした。
「真田幸村ミニ衝立」は、戦国武将の心意気を彷彿とさせており、いわば床の間や玄関、店内の一隅などの飾り物。「幸村の里のおみやげ」として喜ばれそう。
池田さんは当面、橋本市市脇で建具業を営む弟の作業所で制作活動。九度山町入郷の道の駅「柿の里くどやま」敷地内の「おみやげ館」と、JR・南海橋本駅前の「はしもと広域観光案内所」で、できれば5月13日(月)から、1個2500円(税込)で販売する予定=作業の都合で遅れる場合もある。
池田さんは「火災の後、多くの行政や企業、芸術家、友人知人から激励、パワーをいただきました」と深く感謝。「今回の衝立づくりは、組子細工作品ではありませんが、先ず、出来ることから始め、本来の自分、仕事、時間を取り戻したい」と張り切っている。
写真(上)は「このようなおみやげを作ります」と池田さんが披露した「真田幸村ミニ衝立」。写真(中)は幸い田村さん宅のアトリエで焼失を免れた「真田幸村ミニ衝立」の「小」作品。写真(下)は地蔵寺に奉納した「地蔵昇龍」開眼法要に出席した前列右から池田さん、田村さん。