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桜並木の剪定や写真展~紀見峠駅開業100年祝う
和歌山県橋本市矢倉脇の南海高野線「紀見峠駅・開業100周年」を祝って、矢倉脇区と〝矢倉脇花の会〟〝歴史研究会〟の約50人は、3月11日、同駅周辺で清掃奉仕活動を行い、同駅で「開業100周年記念・写真展」を開いた。約10日間の展示予定で、矢倉脇区では「郷土の最も大切な駅」と感謝し、「紀見峠駅周辺の写真から、私たちの自然と文化豊かな郷土を知ってもらえたら」と言っている。
紀見峠駅は大正4年(1915)3月11日、千早口駅、天見駅、高野辻駅(現・御幸辻駅)、橋本駅とともに同時開通し、前年9月21日に完成済みの紀見トンネル(1562メートル)も供用開始。大正13年に学文路駅、翌年に高野下駅、昭和4年に極楽橋駅が開業。同5年、ケーブルカーで極楽橋から高野山駅に達した。
この日、府県境の山間部にある紀見峠駅は、寒風に雪が舞う悪天候だったが、区民らは軍手にハシゴ、カマなどを持って集合。駅前の名物・桜並木(約40年生・10本)の枝落としや、周辺の花壇の草引き、ゴミ収集などに努めた。
紀見峠駅・改札口の手前北側では、地元民や南海電鉄が撮影したカラーやモノクロ写真約60枚を掲示。例えば原嘉彌(はら・よしみつ)さん提供の写真は、自宅に所蔵していた開業当時の同駅付近を走る電車の光景。
フォトライター・北森久雄(きたもり・ひさお)さん提供の写真は、昭和50年頃、同駅に新プラットホーム完成し、地元の柱本小学校の児童たちが、自分たちで咲かせたアサガオをお祝いに飾ってにっこり。今年3月初めには、花の会会長の森脇稔(もりわき・みのる)さんが、橋本駅発の「特急りんかん」の日常的な姿を撮影し提供して掲げた。乗降客は、同駅の珍しい写真展示に驚き、一枚一枚を丁寧に見て、紀見峠駅の往時を懐かしんでいた。
紀見峠駅の周辺は、岩湧山、三石山、高山や、根古川、冷谷川などの山河があり、素戔嗚尊(すさのうのみこと)を祀る牛頭(ごうず)天王社、「とんち」で名高い「一休さん」の兄弟子・養叟(ようそう)和尚が起居した「養叟庵(ようそうあん)」、世界的な数学者・岡潔(おか・きよし)の記念碑、さらに今は、温泉宿泊施設「紀伊見荘」もあって、大阪からのハイカーや観光客も多い。
森脇さんは「駅前の桜の枝を剪定したので、今春、桜並木は見事に咲いてくれることでしょう。当駅を拠点にして、私たちの郷土を歩き、その素晴らしさを、ぜひ体験してください」と話していた。
写真(上)は紀見峠駅の桜並木を剪定する森脇さんたち。写真(中)は紀見峠駅の写真展に見入る人たち。写真(下)は紀見峠駅の花壇を清掃する地元の女性たち。