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お見事!〝橋本案内チラシ〟~居酒屋「丸福」に拍手

和歌山県橋本市古佐田のJR・南海橋本駅前にある老舗(しにせ)の居酒屋さんが、店舗の自己PRを後回しにして、駅前周辺の観光案内・散策コースを紹介したチラシを市内全域に配布し、市民から「お見事!」と喝采を浴びている。
この店舗は、橋本駅前商店街にある居酒屋「丸福」=福岡要(ふくおか・かなめ)さん(80)経営=で、チラシは平成25年(2013)4月と同26年12月の2回、「橋本さんぽ」(B4判カラー)というタイトルで発行し、市内全域に新聞折り込みで配った。
1回目チラシの「橋本さんぽ」モデルコースは、先ず①南海・学文路駅から散策、学文路大師②清水から橋本橋を渡る③理美容 有川さんで顔そりシャンプー、菓子舗 中西さんできな粉だんご④応其寺さんにお参り⑤昔の路地を通って丸福へ⑥丸福にて夫婦で四号瓶の銘酒など飲食。
次のモデルコースは①橋本駅から徒歩で丸山公園へ②丸山公園でお弁当③橋本駅方面へ歩き、おせんべい等 銘品店を回る 紀の川河畔に出る④懐かしい喫茶店などで休憩。お風呂屋さん跡や映画館跡を周り、花岩花卉店で高野槇などを購入⑤居酒屋丸福に到着、と紹介。
チラシ全体を春爛漫の桜で飾り、戦国時代に橋本の基礎を築いた応其上人を祀る応其寺や丸山公園の写真、散策コースの略図などを盛り込んだ。
2回目チラシの「おすすめ!」モデルコースAは①午後より理美容 有川さんで散髪②火伏医院、応其寺散策③菓子舗 中西さんでだんご④17時に丸福へ。モデルコースBは①コミュニティバスで市役所へ②徒歩で東家から本町方面へ③花岩花卉店で槇など購入④紀の川せんべいへ⑤丸福到着、と紹介。
チラシ全体を紀の川、応其寺、火伏医院(登録文化財)などで写真紹介。とくに注目されるのは、チラシ下部に「無料送迎します」という案内で、その条件を「65歳以上の方を1名以上含む」「お会計は2人以上で合計5500円以上」「橋本市内か近隣にお住まいの方(交通事情により困難な場合がございます)」としていて、交通機関から離れたところに住んでいる高齢者に喜ばれている。
同店は昭和32年(1957)に創業。福岡さんが会社退職後の平成5年、両親から営業を引き継ぎ、今は夫婦と長男・洋之(ひろゆき)さん(48)の3人が店をきりもり。店舗の表は赤ちょうちんで飾られ、店内は8人掛けのカウンターと4人掛けのテーブル席が3つ。まさに「昭和レトロ」な雰囲気の居酒屋さんだ。
常連客からは「とくに〝おでん〟がうまい」と大好評だが、刺し身、カツオのたたき、串カツ、焼き鳥、だし巻卵など品数も豊富で、和歌山の「黒牛」や京都伏見の「柳」など、特選地酒も数多くそろえている。
最近、まるで「観光案内」のようなチラシ配布を実践したことについて、橋本市観光協会の関係者らは、「単にお店のPRではなく、橋本の散策コースを紹介していただき、大いにまちの観光PRになりました」と感謝。常連客も「この不況の中で、なんとか橋本のまちを活気づけているのは、このように赤ちょうちんを灯し、おもてなしを大切にしている、お店の努力のお陰です」と、拍手を送っている。
福岡さんは、洋之さんの発案でチラシ配布を実践したと説明した後、「駅前の再開発によって、昔の町並みは全く変わりました。さらに表通りの拡幅計画があり、いつ店を移転するかわからない。それでも、いつまでも、美味しい味と、ほっこりした、レトロな店でありたい」と誓っていた。
同店の営業時間は午後5時~同11時。月曜日は休み。電話(0736・32・1426)。
写真(上)は昭和レトロな雰囲気の居酒屋「丸福」でお客さんをもてなす福岡要さん。写真(中)は「丸福」が橋本市内全域に配布した観光案内風のチラシ。写真(下)は橋本駅前の商店街で赤ちょうちんが灯る居酒屋「丸福」。


更新日:2015年1月21日 水曜日 00:00

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