〝戦争と平和〟語り継ごう～米軍銃撃犠牲者６人追悼～

太平洋戦争の末期、和歌山県橋本市古佐田のＪＲ・南海「橋本駅」構内で、米軍機の機銃掃射により、犠牲になった市民６人の「追悼の集い」が、７月２４日、地元の丸山公園・追悼の碑前で、新しく建立した「橋本駅米軍艦載機銃撃犠牲者追悼の碑」の除幕式とともに行われた。
橋本駅・空襲は、昭和２０年(１９４５)７月２４日朝、米軍・艦載機が飛来し、駅舎や停車中の松根油(しょうこんゆ)入りタンクを積んだ貨物列車に機銃掃射。タンクが爆発、銃弾を浴びた市民が死傷した。

地元有志でつくる「米軍銃撃犠牲者追悼の会」=阪口繁昭(さかぐち・しげあき)世話人代表(８６)=は、平成２３年(２０１１)、無数の銃弾跡が残る橋本駅・跨線橋(こせんきょう)の板壁などを丸山公園に移設。
〝追悼の碑〟には、調査して判明した駅構内での犠牲者、平林靖敏(ひらばやし・やすとし)さん(１５)、恋中圭一(こいなか・けいいち)さん(４７)、山本稔(やまもと・みのる)さん(３８)、　菅野廣雄(すがの・ひろお)さん(１９)、海立節子(かいだて・せつこ)さん（２０）、坂上貢(さかうえ・みつぐ)さん（１４）の計６人の氏名・当時年齢を刻んだ。
この日、厳しく照り付ける太陽、蝉しぐれの中、遺族や地元地区役員、ボランティアら関係者約７０人が参列し、平木哲郎(ひらき・てつろう)市長が「橋本駅米軍艦載機銃撃犠牲者追悼の碑」(高さ約９０センチ、幅約２６センチ、厚さ約１０センタ)を除幕した。

阪口世話人代表は、開会の挨拶で「この惨劇を二度と繰り返さないよう次世代に伝えたい。引き続き犠牲者の調査にご協力賜わりたい」と訴えた。

橋本駅近くの応其寺(おうごじ)の松井孝憲(まつい・こうけん)副住職が読経する中、遺族や地区役員、関係者、さらに「のぞみハーモニカクラブ」=高木秀夫(たかぎ・ひでお)代表ら７人=、県立橋本高校・吹奏楽部=吉田早希(よしだ・さき)部長ら約１０人=のメンバーが、次々と焼香して合掌。

「のぞみハーモニカクラブ」は「ふるさと」や「浜辺の歌」、橋本高校・吹奏楽部は「見上げてごらん夜の星を」を演奏。参列者の心に沁み渡った。

最後に平木市長は「このように犠牲者を出したことは残念でならない。戦争やテロのない平和な世界を目指したい」述べ、６人の冥福を祈った。

追悼碑の前に集まった遺族らは、「この追悼の会の方々のお陰で、追悼碑が建立され、心から冥福を祈ることがきます」と感謝。「きょうも戦争の悲惨さと、平和の尊さを痛感しました」と、しみじみ語っていた。

写真(上)は〝追悼の集い〟で焼香・合掌する遺族・関係者。写真(中)は「見上げてごらん夜の星を」を演奏する橋本高校・吹奏楽部。写真(下)は松井副住職の読経の中、焼香する遺族や参列の平木市長ら。

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