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73年ぶり2老婦人が再会~デイサービスで大喜び

太平洋戦争が始まる昭和16年(1941)に、和歌山県橋本市の旧・紀見村の紀見尋常小学校を卒業した86歳の老婦人2人が、このほど同市隅田町中島の特別養護老人ホーム「ひかり苑」のデイサービス施設で、73年ぶりに偶然再会して大感激、改めて楽しい交流を始めている。

その主人公は、橋爪綾子(はしづめ・あやこ)さん(同市御幸辻)と、向井カネ子(むかい・かねこ)さん(同市柱本)で、2人は紀見尋常小学校の同級生。子供の頃、とくに仲良しで、「縄跳び」「かくれんぼ」「ままごと遊び」など、いろんな昔遊びをし、いい友達同士だった。

とろが卒業後、2人は戦争、終戦、さらに戦後の混乱期を経験。これを乗り越えて結婚、出産、育児と、それぞれ別々の人生を歩いてきた。そして向井さんは約10年前から、橋爪さんは約1年前から、「ひかり苑」のデイサービスを利用してきたが、2人の利用日程が異なっていたため、〝同じ屋根の下〟で過ごしていることに気付かなかった。

ところが最近、デイサービスの井上直紀(いのうえ・なおき)管理者が、2人の出身校や年齢が同じことから、「2人は幼馴染(おさななじみ)ではないか」と推察。これを聴いた元・橋本市議の森安欣吾(もりやす・きんご)さんが、6月24日朝、マイクロバスで2人を迎えに行った際、橋爪さんに「きょうは、バスの中に、あんたの知り合いが、いるかも知れませんよ」と耳打ちした。

すでにバスの前列座席には、先に迎えた向井さんが座っている。橋爪さんがバスに乗り込んだ瞬間、向井さんの顔をはっきり認め、「わあ、カネちゃんやないの」と叫べば、橋爪さんも「わあ、久しぶりーっ」と歓声を上げ、2人は抱き合って大喜び。デイサービス施設につくと、2人は懐かしい昔話に花を咲かせた。

1週間後の7月1日にも、2人は同じバスで、同じ時間にデイサービス施設に到着。長いテーブルに並んで座り、73年の時空を超えて、厳しかった戦中、戦後の生活ぶりを述懐した。昼食前には、20数人の利用者とともに、施設のオリジナルな〝修身書〟を読み上げ、嚥下力(えんげりょく)や分泌力(ぶんぴつりょく)をつけて会食。折々、手を握り合ったり、カメラに向かって笑顔で振る舞ったり。誰もがうらやむほどの、仲の良さを見せた。向井さんは「うれしくて、うれしくて」と言えば、橋爪さんも「わたしもよ」と顔をほころばせていた。

2人は今後も施設で血圧や体温、脈拍など身体検査を受けながら、入浴やレクリエーション、七夕飾り、会食など、デイサービスを楽しむことになる。井上・管理者は「私たちは2人のお世話をしていますが、別れてから73年間も出会っていなかったとは、考えてもみませんでした。2人は幸いなことに明朗快活であり、今後、楽しい生活が続くよう、しっかり見守り、お世話して参ります」と誓っていた。

写真(上)は、ピース&笑顔で再会を喜び合う向井さん=左=と橋爪さん。写真(中)は嚥下作用を良くするために〝修身書〟を読み上げる向井さん=左=と橋爪さん。写真(下)は会食する向井さん=左=と橋爪さん。


更新日:2014年7月2日 水曜日 00:00

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