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引っ張れば♪鈴が鳴る~隅田八幡神社の祈願は楽し

和歌山県橋本市隅田町垂井の隅田八幡神社=寺本嘉幸(よしゆき)宮司=の拝殿にある珍しい「縦に引っ張って鳴らす鈴の緒(すずのお)」が、参拝者から「祈願するのに楽しい」と評判になっている。同神社では、体の不自由な人が、車椅子からでも鈴を鳴らせるようにも工夫していて、「どうぞ楽しくご参拝ください」と言っている。
同神社は、国宝・人物画像鏡(じんぶつがぞうきょう)を所蔵する社として名高く、橋本・伊都地方をはじめ、近府県からも多数の参拝者が訪れている。評判の「鈴の緒」とは、拝殿天井付近にぶら下がる5個の「鈴」と、その「鈴」につながる長い白布6束の「緒」のこと。
鈴は直径約20~30センチの銅製。その中央の鈴から2束の緒、さらに両側の各2個の鈴から、1鈴1束の緒がつながれ、緒は手前の鴨居(かもい)上の滑車(かっしゃ)を通じて、下の賽銭箱(さいせんばこ)付近に垂れ下がる。その長さは、鈴から手元まで約5メートル、1束の緒は墨で「家内安全」「厄除祈願」「交通安全」などと書いた約10枚の白布でできている。
神社では普通、緒を左右に振り、その勢いで真上の鈴を鳴らすが、同神社の場合は、白布の緒を上から下へ引き下ろすと、白布が滑車を通じて、鈴の吊り具を引っ張り、鈴が鳴る仕組みになっている。
同神社の話では昔から、古来どの社でも行われてきたように、同神社でも本殿の鈴の緒を、左右に振って祈願してきたが、同神社伝来の人物画像鏡が国宝に指定されたのを受けて、大正5年に「隅田村社(すだそんしゃ)」から「和歌山県社」に昇格し、その神社造営事業の一環として、本殿前に拝殿が新設された。このとき本殿の鈴は、拝殿から遠くなり、長い緒をつないで引っ張って鳴らす、独特の形になったという。また、拝殿の賽銭箱前に上るには、石段があり、車椅子は登れないので、石段下の境内からでも、鈴の緒を引っ張って、祈願できるようにした。
この珍しい〝祈願形式〟が参拝者に喜ばれ、同神社からは元気で美しい鈴の音が響き渡っている。
禰宜(ねぎ)の寺本佳文(よしふみ)さんは「鈴の緒には〝鈴の講〟の方たちが、白布に〝奉納 家内安全〟などと書いて、その緒を引っ張って祈ります。毎年、奉納・希望者でいっぱいになり、これ以上、緒を増やせませんが、鈴の緒を引っ張るのは、ご自由ですから、どうぞご参拝、ご祈願ください」と話している。
写真(上)は5個の大鈴と白布でつながれた珍しい隅田八幡神社の「鈴の緒」。写真(中)は銅製の大きな鈴。写真(下)は車椅子からでも白布の緒を引っ張って鈴を鳴らせる隅田八幡神社の「鈴の緒」。


更新日:2014年3月10日 月曜日 00:03

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