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〝9条まつり〟憲法討論会~橋本高校生&藤井弁護士
「国づくりとくらしに憲法を」をキャッチフレーズにした「第5回 伊都・橋本9条まつり」(憲法9条をまもる伊都・橋本連絡会主催)が、10月20日(日)、和歌山県橋本市高野口町の市立高野口小学校・体育館で、約300人が参加して開かれた。この日は、「九条の会・かつらぎ」代表の藤井幹雄弁護士をアドバイザーに、県立橋本高校の3年生4人が「憲法9条問題」をテーマにディスカッション。憲法9条改定は「日本を戦争する国にする」という課題が浮き彫りになり、会場から「世界に称賛される平和憲法を守ろう」という声が渦巻いていた。
ディスカッションには、橋本高校生徒会長の島田凌弘(しまだ・りょうこう)君ら生徒会、放送部などで活躍する男子3年生4人が参加。はしもと9条の会の金森均代(かなもり・まさよ)さんがコーディネーターを務めた。
藤井弁護士は、冒頭で「世界最古の憲法・マグナカルタ(1215年に王権を制限した大憲章)と同じく、日本国憲法も権力者の権力を制限するもの」と強調し、生徒たちの意見を求めた。
これに対し、FMはしもと「紀北応援の会」パーソナリティーも務める島田君らは、「自衛隊というと、国の内外で支援活動をしている平和的イメージがあるのに対し、国防軍というと、日米連合で戦争するのではないかと、危惧しなければならないイメージに変わるのでは…」などと、率直な疑問符を投げかけた。
藤井弁護士は、法律家であると同時に、九条の会・かつらぎ代表の立場から、「自衛隊は東日本・大震災や伊豆大島・土砂災害現場で活動し、さらに好感度アップしていますし、今のところ世界的な評価も高いです」と前置き。そのうえで「憲法9条が、日米連合で戦争できるように改定されれば、今度は国防軍に合わないものは、銃を向けられることになります」と説明。島田君らは「昔の日本のように、家族に銃を向けられては、たまりません。ぼくたち戦争を経験していない世代は、真剣に考えなければなりませんね」と答えた。
また、藤井弁護士は「憲法は幸福の追求、言論、出版、集会の自由などを認めています。きょうこのように憲法論議をしていると、昔なら憲兵にやられますが、今は憲法のお蔭で、憲兵はどこにもいません」と、憲法の素晴らしさを説き、日本の恒久平和のためにも「憲法を大事にしてください」と訴えた。最後に金森さんは「これを機会にしっかり憲法を学んでください」と締めくくり、会場から大きな拍手が起きていた。
この日、「第5回 9条まつり」は、午前11時に開会。橋詰弘・同連絡会代表は「今回、国の重文に指定される高野口小学校(木造)で、9条まつりが開催できてうれしい。私は軍国主義教育を受けた後、今度は民主主義教育を受けて育った。映画〝青い山脈〟を見て、初めて日本は民主主義になったと思った」と述懐し、自らテーマ曲「青い山脈」を歌った後、「とくに歌詞の最後の〝さびしい夢よさようなら〟で、いい日本になったと感動した。憲法9条は断じて守り抜く」と誓った。
会場には、約10年前から毎年12月上旬~1月中旬、南海高野線・学文路駅で、イルミナリエ(電球・LED)で飾る地域活性化活動をしている県立紀北工業高校・ものづくり研究部(前田真佑部長ら15人)が、高野山開創1200年記念大法会・マスコットキャラクター・こうやくんなどの電飾パネル作品を展示。その美しい輝きが、参加者らの心を潤していた。
また、檀上では、和太鼓演奏(きのかわ支援学校和太鼓部)、やっちょんおどり(真田ちゃいるど。十花仙)、吹奏楽演奏(紀北工業高校吹奏楽部)、バトン・ダンス(橋本高校新体操部バトン部)、和太鼓演奏(紀北農芸高校和太鼓部)、歌とギター演奏(浦部陽介さん・美来さん)、銭太鼓演奏(新日本婦人の会)、九条コーラス(はしもと九条の会)があり、終日、楽しい雰囲気で満ち溢れていた。
九条の会かつらぎ・事務局の植西祥司さんは「今回の藤井代表と橋本高校生によるディスカッションは初めてで、憲法9条問題を考えるいい機会になったと思います。きょうは朝からの雨にもかかわらず、大勢の方々に参加していただき、ありがとうございました」と喜んでいた。
写真(上)は憲法9条問題をディスカッションする橋本高校生と藤井弁護士&金森さん。写真(中)は和太鼓を演奏する紀北農芸高校生。写真(下)は会場に展示した高野山・キャラクター〝こうやくん〟の電飾パネルなどと制作した紀北工業高校・ものづくり研究部員たち。