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片山哲・元首相の「書」~新表装・新額縁できる
和歌山県橋本市の市立橋本中学校(井上淳一校長)に伝わる、第2次世界大戦後の内閣総理大臣・片山哲氏(1887~1978)から贈られた「自治自学」の書が古びたため、これを「美しく丈夫なものに」と、元橋本警察署長の渋田忠三さん(岩出市在住)と地元の工芸師・池田秀峯さんが表装や額縁制作に取り組み、2月27日、見事に完成した。
片山氏は、和歌山県田辺市出身の弁護士で政治家。昭和21年(1946)に日本社会党委員長、同22年に連立内閣の総理大臣となり、翌年退陣後、民主社会党・最高顧問として活躍した。
橋本中学校に残る資料によると、片山氏は昭和21年、同校で講演した後、当時の校長から懇願され、毛筆による横書きで、左から「自治自学」としたため、その後に縦書きで「為 橋本中学 生徒諸君 片山哲」として揮毫(きごう)した。この書はこれまで長らく校長室に掲示されていたという。
完成した書の額縁は、高さ約70センチ、横195センチ、厚さ8センチで、高野山・中門再建の残材の高野杉、高野ヒノキ製。池田さんが和歌山県の伝統工芸〝紀州千切はめ込め技法〟を使って、麻の葉の模様をあしらい、渋田さんが表装した「自治自学」の書を収めた。来月上旬、多くの生徒たちによく見られるよう、同中学校2階の廊下の壁に掲げることになっている。
池田さんは「片山・元首相は、戦争で荒廃した日本の戦後復興を、誰よりも強く願っていたに違いありません。ですから、橋本中学校の生徒諸君には〝自ら治め、自ら学ぶ〟ことの大切さを教えたかったのだと思います」と話し、改めて力強い片山氏の書を眺めていた。
写真(上)は表装・額縁が完成した片山哲・元首相の揮毫「自治自学」の書。写真(中)は「為 橋本中学 生徒諸君」としたためられた片山・元首相の書。写真(下)は額縁制作に取り組む池田さん。