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身分差別テーマ…創作オペラ「横笛の詩」に大拍手
和歌山県かつらぎ町の〝天野の里〟に伝わる悲恋物語を町内の人々が演じる創作オペラ「横笛の詩(うた)」(同製作準備委員会主催)が、かつらぎ総合文化会館で、初めて上演され、身分差別をテーマにした迫真の演技が、大拍手を浴びた。
防野宗和・委員長(前かつらぎ町文化協会長)が台本原案、舞台監督を務め、和歌山市の「劇団ZERO」主宰・島田忠さんが脚色、演出を担当した。
この物語は、平家物語の中にある伝説で、平安末期に内大臣・平重盛の家臣・斉藤時頼が、下級女官・横笛と恋に落ちる。しかし、身分の違いから、父に仲を裂かれ、出家して高野山で修行。女人禁制で高野山に登れない横笛は、天野地区で暮らし、死後、鶯(うぐいす)となって、高野山で時頼との再会を果たすというストーリー。
元宝塚歌劇団の女優・羽根知里さんが横笛役、声楽家の福井雅さんが時頼役となり、平安装束に身を包んで、身分差別により結婚できない悲しみを熱演。天野の里の子役たちも、口々にその間違いを声高らかに言うと、会場から大拍手が起きた。
ある観客の男性は「羽根さんは、さすがに宝塚・スター、セリフも歌も演技も、ほれぼれするほど見事でした」と感激。ある女性は「こんな素晴らしい創作オペラは、紀州の貴重な文化と思います。今後は伝統文化となるよう、ずっと続けてほしいです」と期待していた。
写真(上)は身分差別による悲恋を演じる横笛役の羽根さん(左)と時頼役の福井さん。写真(中)は横笛を演じる元宝塚スターの羽根さん。写真(下)は身分差別を批判する大勢の子どもと村人たち。
更新日:2012年12月15日 土曜日 09:05