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二重虹、丹波栗、鶏頭…わずか半月めぐる自然
和歌山県橋本市東家、真言律宗・妙楽寺の愛宕大権現(あたごだいごんげん)・愛宕山北側の畑で、9月13日、真っ赤な10数本の鶏頭を見つけた。
昨年秋、同じ場所で、同じ形に、咲いていたので、写真を撮ろうと思ったが、いずれ、そのうちに、と思ううちに枯れて、消えてしまった。あれからもう1年経ったか、時の不思議を感じながら、今年は、カメラでその姿を切り取らせてもらった。
9月5日には、橋本市隅田町の丘陵地にある特別養護老人ホームの入り口わきで、栗の実を見つけた。ここでは、脳こうそくで倒れた妻が、長らく世話になっている。施設の話では、もともと栗山(約5ヘクタール)で、山栗に覆われていた。施設を開設した後、丹波栗の木を植樹し、今では甘い山栗も、大きな丹波栗も、無数に実る。もうすぐ入所のお年寄りに、〝栗ご飯〟を振舞うという。
8月31日には、その丘陵地の近くから、二重の虹(にじ)を見た。右端は、紀ノ川流域の旧市街地付近から、左端は、あやの台の新興住宅地付近にかけて、大きな二つの虹の架け橋が顕れている。虹の一本ははっきりしているが、もう一方は薄くかすんでいる。西の空には、まだまだ暑い日輪が、光を放っていて、やがて日が翳(かげ)るにつれて、虹は消えていった。
歳時記では、虹は夏、栗や鶏頭は秋の季語。この、わずか半月の時の流れの中で、知らず知らずのうちに〝自然の芸術〟を鑑賞させてもらってきた。いわば、途方もなく広い、〝橋本・伊都美術館〟の中で…。
鶏頭の今年も此処に咲きしかな
色白の妻のルーツや丹波栗
顕れしことたしかなり二重虹
(水津順風)
写真(上)は、その一方が紀ノ川流域の旧市街地付近から立ち上がる二重虹。写真(中)は特別養護老人ホームのある栗山に実った丹波栗。写真(下)は愛宕大権現・愛宕山北側に咲いた鶏頭。