ニュース & 話題
心に刻む花火・灯籠流し…最後の紀の川まつり
今夏で最後となる紀北地方の風物詩「第62回紀の川まつり」(同実行委員会主催)が8月15日、和歌山県橋本市向副の紀の川河川敷をメイン会場に開かれた。地元はもちろん大阪、奈良両府県からも大勢の観光客が訪れて〝火と水の祭典〟を堪能、ふかく心に刻んだ。
この日、紀の川北岸の大森神社で安全祈願祭を行い、杉本二矗・相賀大神社宮司が祝詞を奏上。参列した大会長代理の清原雅代・副市長や、実行委員長の畑野富雄・橋本商工会議所会頭ら関係者約30人が玉串を奉奠(ほうてん)、まつりの安全を祈願した。
まつり本番では、橋本橋上流の河川敷の特設ステージで、郷土のウィンズ・平阪さんや浦部陽介さん、紀州紀の川太鼓、紀の国やっちょん踊りなどの出演、イベントがあり、大勢のファンの喝采を浴びた。
日没後、灯籠流しが始まり、読経の中、特設の桟橋から「先祖供養」や「家内安全」などの灯籠約3000基を流すと、灯籠は長い帯状になって川面を照らし、川岸から多くの人々が、静かに手を合わせた。
名物・花火大会は午後8時に始まり、スターマインなど昨年より500発多い約2000発の花火が打ち上げられた。JR南海橋本駅前の商店街では、大輪の花火が屋根に迫って、大きな音がとどろき、流域の家々の軒先では、いくつもの遠花火が開くたびに、打上げ音がやや遅れて届いてきた。
同まつりは昭和23年(1948)から続いてきたが、来夏には「紀の川カッパまつり」と統合。今回が最後の祭典となるだけに、市民らは「紀の川まつりは、子どもの頃から体験してきたので、いくつもの思い出と重なります」「今年最後と思うと、やっぱり惜別の気持ちがわいてきて…」と話し、灯籠流しや打ち上げ花火を格別な思いで眺めていた。
写真(上)は露店の灯が無数にともる最後の紀の川まつり。写真(中)は橋本橋の夜空をこがす打ち上げ花火。写真(下)は露店の灯の手前の紀の川を帯状になって流れる3000基の灯籠。