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廃線〝真土トンネル〟…鉄道ファンに人気

和歌山県橋本市真土のすぐ東側、奈良県五條市相谷町にある、旧国鉄の〝真土トンネル跡&廃線跡〟が、最近、ちょっとした観光スポットとなり、歴史見学ツアーが組まれたり、鉄道ファンが撮影に訪れたりするなど、静かな人気を呼んでいる。すぐ近くに住みトンネル管理している元JR職員の阪部隆さん(65)は「トンネル内は崩落の危険性があるので、立ち入りを禁止していますが、外からの見学や撮影は、自由に楽しんでください」と言っている。
〝真土トンネル〟は300メートルぐらいの長さ。小高い天女山を、東西に貫通していて、コンクリートやレンガで構築している。
五條市の広報紙や、阪部さんの話を総合すると〝真土トンネル〟は、紀和鉄道(旧国鉄、現JR)の五條~橋本間が開通した明治31年(1898)に完成し、昭和27年(1952)頃まで、汽車が往来したらしい。トンネルが老朽化したため、トンネル閉鎖して、天女山の南側にルート変更、レールを付け替えたという。
現在は、トンネル入り口を鉄柵でふさぎ、カギをかけて、立ち入りを禁止。新緑の天女山の西側の麓(ふもと)に、明治、大正、昭和と活躍した面影を残している。
また、トンネルを抜け、和歌山方面にのびる鉄道跡は、すでにレールも枕木もなく、タンポポやスギナなどに覆われている。その南側には、移設後の鉄道が敷設されていて、まるでトンネルの歴史などなかったかのように、列車が往来している。
阪部さんは「なかには、トンネルの鉄柵を乗り越えて、焚き火をしたり、コウモリを撃ったりする人がいるので、しっかり監視しなければ…」と困惑しながらも、「真土トンネルには、普段から、鉄道マニアが写真撮影にやってくるし、6月には約30人の団体客が見学に来てくれます」とにっこり。「私たちが子どもの頃には、天女山に登って遊んだし、汽車が煙を吐きながら、このトンネルを走り抜ける姿をよく見ました。私たちの大切な風景、ゆっくりご覧ください」と話していた。
なお、すぐ近くの和歌山、奈良県境を流れる落合川には、万葉人が往来した〝飛び越え石〟があり、将来「古道&鉄道」という共通項を持った観光、ハイキングコースになりそう。
写真(上)は鉄道マニアに人気の〝真土トンネル〟と廃線跡。写真(中)は〝真土トンネル〟内と管理点検に当たる阪部さん。写真(下)は現在の和歌山線のレールの向こうに〝真土トンネル〟が見える。


更新日:2012年5月9日 水曜日 09:23

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