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〝町家の人形めぐり〟開幕~〝三代の雛飾り〟見事
戦国武将・真田幸村ゆかりの和歌山県九度山町の〝真田のみち〟で、4月1日、商店や民家に古い雛人形や五月人形などを飾る、まちを舞台にした「第4回 町家の人形めぐり」が始まった。5月5日まで。見学無料。
〝真田のみち〟とは、南海高野線・九度山駅~紀ノ川・九度山橋の約1キロ間を言い、人形は、九度山商店街を中心に周辺の商店、民家に展示されている。
商店街の中央付近にある老舗「呉服のおくだや」(奥田義之さん経営)では〝奥田家三代の雛人形〟を展示。いずれも、子どもが誕生して初めて迎えた〝桃の節句〟に、親または祖父が購入したらしい雛飾り。
向って左側には、昭和39年(1964)生まれの長女・裕子さんの「七段飾り雛」、右側に昭和14年(1939)生まれの奥田さんの妻・瞳さんの「御殿雛(ごてんびな)」、中央に明治42年(1909)生まれの奥田さんの母・美代子さんの「押絵雛掛軸(おしえびなかけじく)」が並ぶ。
とくに「御殿雛」はジオラマ状で、雄雛と雌雛、三人官女などが、御殿内やその周辺で遊び、背景には雛飾りの絵も掲げられている。「押絵雛掛軸」は、雄雛や雌雛の背景に、雛飾りの押絵が付されていて、雅やかでいて、奥ゆかしい。
瞳さんは「蔵にしまっていた古雛を、それこそ、古いものは100余年ぶりに、取り出しました。皆さまにご覧いただければ幸いです」とにっこり話した。
また、〝真田のみち〟にある休憩所&土産物店「真田いこい茶屋」では、地元の人たちが作った〝六文銭てぬぐい〟を1枚300円で販売。手ぬぐいには、幸村の姿と旗印・六文銭を赤く染め抜き、余白部分には人形めぐりの途中、各ポイントで、大助と十勇士のスタンプを押してまわる。この珍しい〝六文銭てぬぐい〟を手にした女性たちは大喜びで、まちなかを闊歩(かっぽ)していた。
また、ノドが乾いた観光客らは、マンゴーやバニラなどのソフトクリームを買い求め、土産には柿酢や柿ようかん、高野とうふ(味だし付き)などが人気。スタッフの榎本美保子さんは「ゆっくりしていってくださいね」と、親切に応対していた。
ある店舗スペースでは、沢山の甲冑や、雛人形、吊るし雛などが飾られ、家族連れや若いグループが次々と訪れて、「これはすごい」「やっぱり真田幸村の里」と、驚きの声を上げていた。
〝九度山町住民クラブ〟の阪井賢三代表は「私たちは少子高齢化の中、人々の絆(きずな)を大切にしようと、人形めぐりを企画しました。今年で4年目、イベントも盛りだくさんです。気軽にお越しください」と言っている。
写真(上)は〝奥田家三代の雛飾り〟と奥田瞳さん(左側は明治、右側は第一次世界大戦前の雛飾り)。写真(中)は〝六文銭てぬぐい〟を手にする女性たち(真田いこい茶屋で)。写真(下)は、観光客を楽しませている見事な甲冑の数々。