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高野山〝般若湯〟の酒蔵・見学会~伝統守る1軒

日本酒「高野山 般若湯(はんにゃとう)」を醸造する和歌山県かつらぎ町中飯降85、初桜酒造株式会社(笠勝清人社長)は、2月12日と2月19日の日曜日の、いずれも午前10時から、国の登録文化財「酒蔵」の見学会を開く。笠勝社長は「世界遺産・高野山の地酒造りの酒蔵をご覧ください」と見学を呼びかけている。見学無料。
同社は1866年(慶応2)に高野山麓を流れる紀ノ川畔に創業。高野山では〝飲酒禁制〟だったが、弘法大師は「塩酒一盃(おんしゅいっぱい)これを許す」と酒の効用を認め、山上では酒を〝般若湯〟と呼んで愛飲された。昔は馬の背中に酒樽を乗せて、山麓から山上まで運んでいたという。
同社は、弘法大師が高野山開創の際、大変世話になった丹生都比売(にゅうつひめ)神社のある同町天野の、名産〝天野米〟と高野山麓の伏流水を使用、笠勝社長と但馬杜氏が純米、純米吟醸酒を造って、橋本・伊都地方や大阪、東京へ出荷している。
この地方は、紀ノ川の上流にあたることから、昔は「川上酒」と呼ばれ、酒造りが盛んだった。とくに大正から昭和初期にかけて、33軒の酒蔵があったが、〝灘伏見〟が酒どころとして脚光を浴びる一方、酒の量産が進むにつれて、〝川上酒〟の廃業が相次ぎ、今では同社1軒のみとなった。
笠勝さんは「今では、紀ノ川筋の人たちでさえ、この場所に酒蔵があることを知らない方が多い。そこで〝どっこい酒蔵は生きている〟と知っていただこうと、7年前に見学会を始めました。お陰で、最近では〝般若湯〟も酒蔵も、よく知っていただけるようになってきました」と喜んでいる。
日本酒は、白米を蒸して麹(こうじ)を造り、この麹で蒸し米を糖化しながら、酵母を培養し、酒母をつくる。これを仕込んで、もろみを仕立て,並行複発酵法(へいこうふくはっこうほう)で、高いアルコール分のもろみを造り、これを搾って出来上がる。
見学会の定員は、両日とも40人。午後の部の見学会は、すでに定員に達している。申し込み・問い合わせは同社(0736・22・0005)へ。
写真(上)は国の登録文化財「初桜酒造」の酒蔵。写真(中)(下)は酒の醸造現場を見回る笠勝社長。


更新日:2012年2月8日 水曜日 08:45

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