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橋本市民狂言…250人堪能~愉快な演技に笑い
和歌山県橋本市の市民でつくる〝橋本狂言会(後藤光基会長)〟による「第1回橋本市民狂言」が、2月5日(日)、橋本市教育文化会館2階大ホールで開かれ、訪れた250人を超える観客が、日本の伝統芸能を堪能した。
橋本狂言会や橋本市文化協会、橋本ユネスコ協会などでつくる実行委員会(高崎正紀会長)が主催し、橋本市、橋本市教育委員会が共催した。
高崎会長が「橋本市民による狂言は〝紀ノ川市民狂言〟という名前で1991年(平成3)から始め、今回で21回目になりますが、町村合併で〝紀の川市〟が誕生していますので、今回からは間違いのないよう〝橋本市民狂言〟と名を改め、回数も第1回としました。楽しくご覧ください」と挨拶。
木下善之市長は「橋本市民の狂言には、歴史の重みを感じますが、県外では橋本の〝こども狂言〟も素晴らしいと評判になっています。ご指導いただいているプロの大和座狂言事務所のお陰です。将来は県外、海外遠征を目指して、皆さんの支援も、お願いします」と激励した。
第1部は〝橋本狂言会〟メンバーが出演。狂言「棒縛(ぼうしばり)」は、主人に嶋里美さん、太郎冠者に前田直哉さん、次郎冠者に植村和明さん(後見は澤村行男さん)。狂言「因幡堂(いなばどう)」は、男(夫)に堀内清澄さん、女(妻)に岸田和美さん(後見は岡本好美さん)。狂言「福の神」は、福の神に近藤順子さん、参詣人に脇田清司さんと嶋里美さん、地謡は大和座狂言事務所、橋本狂言会が行った。
「棒しばり」では、主人が、酒を盗み飲みすぎる太郎冠者と次郎冠者を縛って外出。それでも2人は懲りず、わずかに動く手を使って酒を飲んだり、謡や舞を楽しんだり。そこへ主人が帰ってきて、器の酒に主人の顔が映っているのを見ても、なかなか気づかない…。その滑稽(こっけい)な動作や語り口に、客席から大きな笑いが起きていた。
第2部は、大和座の安東伸元さんによる「講話」と「歌唱演習」では、安東さんが扇子でひざを叩きながら拍子をとって謡を指導。女性の元から朝帰りする武士の心情を表わした「暁の明星」を全員でうたった。
この後、〝大和座狂言事務所〟の能楽師らが出演。狂言「素袍落(すおうおとし)」で、主人を寺西将惺(しょうせい)さん、太郎冠者を安東伸元さん、伯父を木田喜方(きぼう)さん(後見は比嘉峯宰さん)が演じ、プロの所作と迫力が、観衆を魅了していた。
写真はいずれも「橋本市民狂言」で披露された「棒しばり」の名場面。