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棚田に〝水田魚道〟設置…小魚の遡上を期待
昔、日本列島の田んぼで生息していた、小魚や水性昆虫の世界を甦(よみがえ)らせようと、和歌山県橋本市柱本の「柱本田園自然環境保全会」(会長=大原一志区長)は、地元を流れる芋谷川から流域の棚田に〝水田魚道〟を設置した。同会と〝はしもとアクションチーム〟の事務局長・佐藤俊さんは「本来の自然を子どもたちに感じてもらい、その大切さを次世代へ引き継ぎたい」と話している。
同会は12月11日(日)、柱本集会所で「柱本芋谷での水田魚道研修会」を開催。地元関係者や子どもたち約30人が参加。地域環境自然センター主任研究員・菊池智春さんから、農薬や圃場(ほじょう)整備などで、水性生物が減少。農地、水、環境保全対策の必要性を教えてもらった。
そのうえで、農業環境整備センター「ナマズのがっこう・メダカ里親の会」事務局長・三塚牧夫さんから「水田魚道の設置方法」などについて受講。水路と田んぼをつなぐ〝水田魚道〟を設置することで、ドジョウ、メダカ、ナマズ、タモロコ、フナ類などが田んぼに遡上(そじょう)し、昔の水田が復活されることをと知った。
参加者はさっそく地元を流れる芋谷川の棚田に移動。子どもたちは網を使って、池で小魚や水性民中を採取。大人たちは三塚さんの指導で、芋谷川から流域の棚田につなぐ〝波付きU型〟と〝波付き丸型〟の魚道を敷設。小魚や水性昆虫を水田に放った。
今後、芋谷川から小魚や水性昆虫が、この魚道を遡(さかのぼ)り、水を溜めた棚田で産卵、ふ化。ふたたび芋谷川に戻り、あらためで魚道を通じ、その先の棚田で繁殖を繰り返すという仕組み。
同田園自然環境保全会や同アクションチームでは▽生きもの調査▽水田魚道▽生きもの図鑑作りを目指し、すでに9月に生きもの調査、今回は水田魚道を設置を終えた。今後は水管理を行いながら、小魚や水性生物の生息を支え、図鑑作りに進むことになる。佐藤さんらは三塚さんらに感謝し、「柱本の棚田の自然を復活させたい」と張り切っている。