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棚田や池に水性生物いっぱい~児童ら採集し歓声
和歌山県橋本市柱本の、市立柱本小学校5年生の児童30人と、地元住民40人は、9月5日、近くの棚田周辺の池や稲田で〝柱本の生きもの調査〟を行った。児童らは水性生物をいっぱい採集して大喜びで、大人たちも棚田の素晴らしさを再認識し、次世代へ引き継ぐ方法を考えることにした。
この調査は、柱本区の老人会や柱本会(青壮年)などでつくる「柱本田園自然環境保全会」(会長=大原一志区長)が、「郷土の自然、里山を守ろう」と主催した。
先ず、児童らは教室で、社団法人・地域環境資源センター研究員・稲田あやさんから、里山と生物について勉強。「山の斜面を段々にした棚田は、〝緑のダム〟といわれ、それは土砂崩れを防いでいるし、そこは水生生物にいい環境なので、いろんな生きものがすんでいる」と学んだ。
また、「この棚田が、農家の高齢化で、後継ぎがいなくなると、草ぼうぼうとなり荒廃する。ほ場整備すると、農業用水路が低くコンクリートで固められる。すると、これまですんでいた生きものが、移動できなくなり、絶滅することに…」と、教わった。
一方、大人40人は柱本集会所に集まり、財団法人・自然環境研究センター研究主幹・斉藤秀生さんから、魚道作りなど棚田を守る方法などの話を聴いた後、児童たちと合流。
児童たちは「はしもと里山保全アクションチーム」事務局長の佐藤俊さんや中谷八重子さんらに見守られながら、近くの棚田や池で、網を使ってアメンボウ、ヤゴ、ガムシ、タニシなど計21種類の生きものを、水槽に生け捕った。
児童らは、それぞれ目鼻先にヤゴを近づけて、「これなに?」とおそるおそる眺めたり、タニシを「かわいいね」といって触ってみたり…。古里の自然を全身で感じ取っていた。
大原区長は「これまで気づきませんでしたが、きょうの調査で、柱本の棚田周辺には、多様性に富んだ水生生物のすんでいることが、肌でわかりました。宝物とも言うべき棚田を次世代に引き継がなければならないと思います」と話していた。