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落ちアユ…玉川初の〝簗漁〟~新温泉施設で提供へ
和歌山県橋本市、九度山町、高野町を流れる渓流「玉川」(紀伊丹生川)の玉川漁業協同組合は、落ちアユを生け捕る〝簗(やな)〟を、同川に初めて仕掛けた。来年3月、川沿いの同市北宿で新築オープンする温泉宿泊施設「やどり温泉いやしの湯(市設民営)」の相談役で、同漁協組合長・上西進さんは、「とれた落ちアユは、組合から買い受け、施設のお客さんに食べてもらいます」と張り切っている。
組合員9人は、近くの山で切り出し真竹(まだけ)を使い、九度山町丹生川の売店「さえもん」上流約200メートルの同川(深さ約30センチ)に〝簗〟を設けた。
幅約15メートルの川に、クイを打ち込み、長さ4メートルに切りそろえた竹を、4枚に割って、計20メートルにつなぎ合わせ、両岸から斜めに渡した。その下流部には、竹を筏(いかだ)状にした棚(たな=長さ約3メートル、幅1・5メートル)を設けた。
落ちアユが、下流へ産卵に向う際、〝簗〟に行く手をはばまれ、〝簗〟に沿って進むうち、ついには、棚に打ち上げられる仕組み。たとえ、打ち上げられなくても、手前で群れをなすので、漁協組の人たちが、投網で生け捕ることになる。
〝簗〟が仕掛けられると、さっそく数匹の落ちアユが現れ、棚に打ち上げられそうになったが、あわてて上流へすがたを隠した。同漁協では「あれは、今年夏に放流したアユです。
この調子だと沢山とれるはず」と期待している。
温泉宿泊施設「やどり温泉いやしの湯」は、来年3月、新しく掘り当てた天然温泉とともに新築オープン。春は桜、夏はアユ、アマゴ釣り、水浴び、秋は紅葉と自然が美しく、近畿の〝奥座敷〟となる。
上西さんは「せっかく放流したアユが、そのまま流されてしまうのは惜しいので、〝簗〟を仕掛けることにしました。玉川は、起伏や曲折に富んでいるので、この急流により、アユの身が引き締まって、とても美味しくなります。今年とれた落ちアユは、冷凍保存しますが、来年は活け活けの落ちアユを、温泉宿泊施設で提供し、〝玉川峡の幸〟を楽しんでいただきます」と話した。