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匿名で図書50回100冊寄贈~橋本駅の図書館へ
「山口・小郡」(山口県小郡市)などの消印のある匿名・郵便物で、昨年10月から、和歌山県橋本市のJR橋本駅構内にある〝ゆかいな図書館〟=世話人・阪口繁昭さん(83)=へ、「ぜひ利用してください」として、次々と図書が寄贈されているが、8月23日、この寄贈・郵便物は50回を数え、図書は計100冊を突破した。阪口さんは「匿名なので礼状を出せませんが、お蔭で図書はいつも充実し、心から感謝しています」と述べている。
「ゆかいな図書館」は、1998年9月、同駅の待合室を改造してオープン。橋本市教委が、それまで、非行の温床となっていた待合室を「図書館にしては」と発案。非行防止運動や駅前の清掃奉仕に働いていた阪口さんが、JR側に懇願して、全国でも珍しい「駅構内の民営図書館」が実現した。
館内に係員を置かず、本の持ち帰りと、返却を自由にしたため、図書は減っていく一方だが、全国の人々の寄贈本で補充してきた。今年3月には、駅のバリアフリー化工事完成に伴い、図書館は改札口外側の通路わきに移設・新装オープンし、窓明かりの小部屋で、座席(6人)もある。小説や詩など、主に文庫本、単行本約1500冊を本棚に並べ、とくに8月中は戦争関係の約200冊を集めた「戦争文庫」を企画・開催中。
匿名の「善意の主」から届いた〝ゆうメール封筒〟は、阪口さんが、一枚一枚、アルバムに貼って、大切に保存。それによると、郵便の消印は、昨年10月26日付けの「宇部」(山口県宇部市)から、八月21日付けの「小郡」(同県小郡市)まで、「宇部」と「小郡」の2つだけで、届いた封筒は50袋、切手は1封筒あたり平均340円、本は1封筒に2冊以上入っていた。いずれも、水性ペンで書いた丁寧な文字で、「とくめい」としていた。
今回届いたのは、パプアニューギニアの美しいカラー写真集(2700円=税別)と、ヨーガの指導本(2800円=同)で、便箋に「何回も送ってすみません。もうしばらくおつきあい下さい」と書いている。
阪口さんは「読んで人生のためになる本が多く、いずれも高価ですが、すべて新しく購入した本のようです。このような方がおられるので、〝ゆかいな図書館〟を運営することができています」と感謝していた。