ニュース & 話題
南蛮人屏風(山内筆)を飾る~橋本市図書館
美人画の巨匠で日本美術院理事・中村貞以画伯(1900~1982)の愛弟子・山内清冶さん(69) (和歌山県橋本市隅田町下兵庫)の描いた日本画「南蛮屏風(なんばんびょうぶ)」が、橋本市東家の橋本市教育文化会館5階の「橋本市図書館」(秋宗正男館長)に展示され、「さすがに見事な絵」と、市民を驚かせている。
「南蛮人屏風」は、高さ約1メートル余の6曲屏風。絵は約400年前、南蛮人(西洋人)が南蛮船で日本にやって来た時の模様を描いた情景画。当時、日本人がちょん髷(まげ)を結い、着物姿で暮らしている時代、南蛮人はカラフルなハットをかぶり、モンペのようなズボンに、長い靴をはいて、闊歩(かっぽ)している。その異様とも、ユーモラスともいえる光景にタイムスリップし、独特の筆致で描いている。
「南蛮人屏風」は、山内さんが約1996年ごろ、橋本市図書館に提供し、壁際に飾られていた。その後、図書の増加とともに館内が狭くなったため、絵は書庫に保管されていた。今回、同図書館が耐震・改修工事などを完了し、事務所や書庫を4階に移設して、館内が広くなったため、図書館北側の愛宕山が見える窓際に、改めて展示した。
山内さんは若干22歳で、日本美術院の院友に推挙された傑物。橋本絵画同好会の初代会長を務めるなど、郷土文化に貢献。あくまでも絵は売らず、今は亡き中村貞以を慕いながら、アマチュア画家に徹している。
秋宗館長は「読書も大切ですが、郷土の大物・日本画家が描いた、この屏風も見てほしいです」と強調した。これを知った山内さんは、「あの絵のことはすっかり忘れていました。皆さんに見ていただけるのは、とてもうれしいです。1年後には、武者が鵺(ぬえ=頭はサル、体はタヌキ、尾はヘビ、脚はトラのすかだ)退治するところを描いた、胡麻生相賀八幡神社のだんじり祭りの絵を飾りたいですね」と話した。