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樹齢300歳、藤の花房お見事~浮世小路近く
和歌山県橋本市東家4丁目にある「巡礼観音堂」の境内で、椋(むく)の巨木に巻きついた樹齢約300年の藤の古木が、楚々とした薄紫の花を咲かせている。
境内には、巡礼観音像を祀るお堂と、「藤紫大明神」と石柱を立て、お稲荷さんを祀るお堂の2棟が並ぶ。立て札の文字は、風雨にさらされ、剥落しているが、「この地でなくなった ある巡礼が持っていた観音像を この地の人たちがお祀りし この巡礼を供養したそうで 横にある藤紫大明神は (以下不明)」と読める。ああ、そういう歴史的・宗教的ロマンがあったのかと驚かされる。
椋の巨木は2本あり、いずれも幹は直径約1メートル、高さ10数メートル。そこに幹周り1メートル程もある1本の藤の古木が、まるで筋肉隆々たる仁王像の腕のように、巻きついている。椋は新緑の季節を迎え、青々と枝葉を張り、藤はその枝々にからみついて、いくつもの花房を垂れている。この2つのお堂に灯明をあげ、境内を清掃奉仕している地元の人の話によると、椋も藤も樹齢は約300年。毎年、瑞々しい花を咲かせるという。
ここはJR南海橋本駅から西約500メートルの旧高野、大和両街道の交差地点の近く。通称「浮世小路」と呼ばれる飲食街の外れにある。通勤通学の人たちが、ひんぱんに往来するが、高いところに咲いているだけに、藤の花に気づく人は少ない。それでも、たまには、境内のベンチに座り、藤の花房を見上げる人もいて、「老齢ながらお見事」とか「わたしもこうありたい」などとつぶやいている。
更新日:2011年5月2日 月曜日 21:48