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鮮やか天井に3匹の鯉幟、お年寄りに子供心…
山遠くなるほど淡し鯉幟 (水津順風)
和歌山県橋本市隅田町中島の特別養護老人ホーム「ひかり苑」の食堂に、3匹の色鮮やかな鯉幟があがり、入所しているお年寄りを喜ばせています。
鯉のお父さんは、体長約2メートルで、貫禄いっぱいの黒いうろこ、お母さんは体長1・5メートルで、装いも美しい赤いうろこ、子どもは体長1メートルで、すべてが澄んだ水色のうろこを、それぞれまとっています。3匹は天井に飾られ、先頭を泳ぐのはお母さん、次がお父さん、その後ろをついていくのが〝よちよち泳ぎ〟の子どもです。
その下に、20数人の車イスのお年寄り。看護士さんや、介護師さんに、食事介助してもらい、ふと見上げると、3匹の目の覚めるような鯉幟…。幼い頃、若い頃、熟年の頃、そして今、何十回目かの光景です。
窓の外は、見渡す限り、高野山系の、緑の山々です。「ついこの間まで、お雛さまが飾られていたのに、もう、端午の節句ですか」。そうは誰も言いません。でも、鯉幟の姿を見るたびに、それぞれの胸に、きっと素敵な思い出が、よみがえっていることでしょう。
更新日:2011年4月24日 日曜日 14:59