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大地震!傷病者救え…医師ら250人本番並み訓練

南海トラフを震源とする巨大地震が発生した際、スムーズな医療救護活動で、最大多数の傷病者を治療、社会復帰させようという、県内で最大規模級の「第7回橋本市医療フォーラム」が、10月20日、和歌山県橋本市小峰台の橋本市民病院(山本勝廣院長)で行われた。
橋本市が主催し、橋本・伊都地方の災害拠点病院である橋本市民病院が主幹。橋本・伊都地方や奈良県五條市の病院、医師会、保健所、消防署、自治会などから、医師や看護師、消防士ら計約250人が参加した。
午前は、橋本市民病院の石井敏明・管理者が「何度も訓練を重ね、万が一の場合に、総力を結集してほしい」と挨拶。災害医療コーディネーターの嶋田浩介・副院長のオリエンテーションの後、1階外来エントランスホールで机上演習を開始した。
わが国の「エマルドトレインシステム机上演習」の権威で、大阪府堺市の市立堺病院の中田康城・救急外科部長が講師となり、医療機関などに見立てたホワイトボードを使って、次々搬送されてくる〝患者人形〟について、「重体」「重傷」「軽傷」と、治療の優先順位別に振り分ける「トリアージ」を行い、素早く治療・搬送を行う〝災害医療の流れ〟を再現。参加者らは、各場面の役割を脳裏に刻んだ。
午後は、机上演習を基に実地演習。和歌山県立看護学院の学生47人が、頭部打撲や骨盤骨折などの〝模擬傷病者〟になり、山崩れや家屋倒壊などの災害現場から、玄関前ロータリーなどに搬送される。医師は、素早く傷病程度の順位別に傷病者を振り分け、この傷病者を受け入れた各部署は、呼吸や血圧、脈拍などを調べたうえ、看護師とともに手術や酸素投与、点滴などの手当てを施した。
一方、通信関係についても、橋本市消防本部からは地震発生後、「119番の緊急通報が鳴り止みません」「山間部で崩落事故があり、南海電車が脱線している模様」と第1報。続いて「生き埋め事故2件」「アパート崩壊で10人が生き埋めに」「救急車は、病院への事前連絡なしに、傷病者を運ぶことも…」と、あわただしく第2報が入る。
同病院の官舎をアパートに見立て、3階に負傷者3人が取り残されたとの想定で、橋本市消防、五條市消防の消防士が、クレーンやタンカーなどを使って救出。本番さながらの緊迫ぶりを見せた。
延べ7時間半に及ぶ災害医療救助訓練の後、山本院長らが記者会見に臨む一方、各部署リーダーが、訓練の成果と反省点を報告。嶋田・副院長が「おおむね訓練は成功しました。今後も関係機関と協力し、より実践に即した訓練にしたい」と述べ、山本院長が「中田先生(市立堺病院外科部長)や、関係機関の皆さん方のお陰で、充実した訓練ができました。阪神・淡路大震災と東日本大震災とでは、被災状況が違ったし、これからも訓練に工夫を重ね、臨機応変、がんばりたいと思います」と締めくくった。
午前の参加機関=橋本保健所、橋本市、伊都医師会、紀和病院、山本病院、奈良県立五條病院、和歌山県立医科大学付属紀北分院、橋本市消防、伊都消防、五條市消防など。
午後の参加機関=橋本保健所、橋本市、伊都医師会、和歌山県立高等看護学院、同県立医科大学付属紀北分院、奈良県立五條病院、橋本市消防、伊都消防、五條市消防、城山台連合自治会自主防災会など。
写真(上)は橋本市民病院の玄関前に次々搬送される〝模擬傷病者〟を診察する医師ら。写真(中)は参加者に〝机上演習〟を指導する山本院長や嶋田副院長ら。写真(下)はトリアージの後、搬送された〝模擬傷病者〟を改めて診察、治療にあたる医師、看護師ら。


更新日:2012年10月20日 土曜日 19:17

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