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菖蒲咲いて植田に涼風そよそよ♡橋本・杉尾の明王寺周辺~まさに日本の原風景♪
日本の音風景100選「杉尾の巨石」として名高い、和歌山県橋本市杉尾の山里で5月13日、早くも清々しい植田が生まれ、明王寺境内では紫の菖蒲(しょうぶ)が涼風に揺れて、素晴らしい日本の原風景を繰りひろげた。
明王寺わきから635段の階段を登った山上には昔、一言主命(ひとことぬしのみこと)が、葛城山から金峯山へ架橋するために巨石を集めたという伝説があり、「不動の巨石」まで登って耳を当てると、紀の川の水音さえ聴こえてくると言われ、同寺前の畑には元々、大きな「寺小屋(学問施設)」があって、多くの子供たちが巣立ったという歴史も伝わっている。
この日、周囲の山腹から流れる谷川の小滝では、まばゆい飛沫(しぶき)とともに落水、あたりには何枚もの水田がかがやき、緑の早苗が涼風にそよいでいる。
マイカーで訪れた家族連れらは、紫の菖蒲や緑の早苗を眺めながら「やっぱり杉尾は、日本画にふさわしい景色です」と心を和ませていた、
[季語・植田の俳句15句紹介]
この庵の障子破れて植田見ゆ(山口青邨)
みちのくの星曼陀羅の植田かな( 鷹羽狩行)
みちのくは奥ほど植田ととのへり(能村登四郎)
天の神地の神たちに植田澄む(右城暮石)
太陽の讃美はじまる植田水(飯田龍太)
嫁ぎ来し素顔にひろき植田かな(鷲谷七菜子)
屯田の跡一望の植田かな(高浜年尾)
川鳴りだす植田に万の星きらめき(三橋鷹女)
植田あり名に過ぎたれど草の王(森澄雄)
植田くらく城を映せるまま暮るる(山口青邨)
植田ふくらみ安曇野はいま青の時(能村登四郎)
植田ゆく花嫁の手の高く引かれ(松崎鉄之介)
犬吠ぇて夕暮のくる植田村(森澄雄)
磨崖仏植田果までみそなはす(能村登四郎)
老人の植田ただ見て立ち去りぬ(山口青邨)
[季語・菖蒲の俳句17句紹介]
きれぎれの風が吹くなり菖蒲園 (波多野爽波)
古家に五尺の菖蒲かけてけり(高浜虚子)
春水や轟々とし菖蒲の芽(高浜虚子)
昼ながら天の闇なり菖蒲園(山口誓子)
水暮れて海の鳥来る菖蒲園(山口誓子)
水ながれ来て菖蒲田を栖家とせり(三橋鷹女)
水急ぐ白一色の菖蒲田ヘ(三橋鷹女)
白波のごとくはるかに白菖蒲(山口青邨)
雨どどと白し菖蒲の花びらに(山口青邨)
砂川の鷺に明けゆく菖蒲かな(会津八一)
老残の月昼ながら菖蒲園(鷹羽狩行)
胸うすき日本の女菖蒲見に(細見綾子)
菖蒲園暮れてもひかる雲のこる(鷲谷七菜子)
菖蒲田に水ほとばしり薄暑来る(角川源義)
菖蒲田の夕日に浮ぶ花となりぬ(松本たかし)
降られても菖蒲に風情添ふるほど(稲畑汀子)
しやうぶ見る腰ポケツトに扇子かな(高澤良一)
写真(上)は明王寺で咲いた菖蒲と彼方の植田。写真(中、下)は山上から眺めた明王寺と水田風景。