ニュース & 話題
紀州かつらぎふるさとオペラ「お照の一灯」あっという間にチケット完売♡故・防野宗和さん脚本~お照のお墓詣りの男性遍路「いつか私も見たい」
和歌山県かつらぎ町文化協会長で、書画・工芸作家だった故・防野宗和(ぼうの・そうわ)さんの脚本を生かした、紀州かつらぎふるさとオペラ「お照の一灯」が3月5日、同町総合文化会館で上演される。すでにチケットは瞬時に完売しているが、さすがにお照のやさしさに心惹かれる人々は、同町のお照のお墓で冥福を祈り、お照を紹介してくれた故・防野さんの温情を讃えている。
「お照の一灯」とは、弘法大師・空海が入定(にゅうじょう)している高野山奥の院・御廟(ごびょう)の拝殿・灯籠堂(とうろうどう)で、今なお1000年間も灯り続けている灯明のこと。
この灯籠は、少女・お照が養父母の菩提(ぼだい)を弔うため、自らの黒髪を売って献上。これに対し、ある長者(ちょうじゃ)が万灯(沢山の灯籠)を納めて、貧しいお照を見下げる。
ところが長者の灯籠は、突然起きた豪風に煽られて、全て消滅したのに対し、お照の一灯は神々しく灯り続けたため、長者は自分の拙さに気づき、深々と頭を下げたと伝わる。
毎年夏の高野山・奥の院「ろうそくまつり」では、この「お照の一灯」を長い参道に並ぶ無数のろうそくに移し、大勢の家族連れらが手を合わせる。
世界遺産・丹生都比売(にうつひめ)神社のある天野の里は、お照の暮らした終焉(しゅうえん)の地で、神社近くの小高い森には「お照のお墓」があり、防野さんは生前、足しげく墓参、お照の生きざまを脚本にまとめた。
遺憾ながら防野さんは令和3年(2021)6月22日に病没。新型コロナ禍も重なって、延滞していたが昨年秋、スタッフ一同は「防野さんの脚本を生かそう」と立ち上がり、開催を決意、練習に励んできた。同オペラ第1弾「横笛の詩(うた)」は大好評で、今回は第2弾となる。
お照は前回の主役・十鳥可奈子(じゅうとり・かなこ)さん、父役は松澤政也(まつざわ・まさや)さんが演じ、唐谷裕子(からたに・ゆうこ)さん演出、車川知寿子(くるまがわ・ちずこ)さん作曲・エレクトーン。女声合唱団(約20人)や高野山青年教師会(僧7人)の歌・声明(しょうみょう)が流れる。
防野さんと親しかったFMはしもと・元報道部長の中野豊信(なかの・とよのぶ)さんは、「今は亡き防野さんの努力を偲ぶと、お照の一灯の完売は、とてもうれしい」。お照のお墓に手を合わせた男性遍路の一人は「和泉市の関係寺院で、お照さんのことを知って来ました。いつか私もオペラ見たいです」と話していた。
写真(上)は灯籠を持つお照の絵=チラシより。写真(中)は在りし日の防野宗和さん。写真(下)はお照のお墓に参拝する男性遍路。