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高野の花たち(250・最終回)コウヤノマンネンゴケ
コウヤノマンネンゴケ(高野の万年苔)は、コウヤノマンネングサとも呼ばれ、落葉樹林などの湿った日陰や半日陰を好み、渓谷や沢の斜面など常に空中の湿度が高く、湿った土中に群生します。日照りが続くと枯れたようになるそうです。
名前の由来は、約200年前に高野山で発見され、「高野の霊草」として乾燥したものが守護札とされ、高野の万年草と呼ばれました。
寛政11年(1799年)の『秉穂録(へいすいろく)』に「高野山に満年艸あり。その葉を女の手道具の内に入れ置いて、夫の他国へ行きて音信なき時、水に入れて見るに、何事もなければ青きこともとの如し。夫むなしくなるときは枯れる」(高野七口学講演資料から)と記されています。
コケはコウヤマンネングサ科の苔植物で、コケの中ではスギゴケのように、葉と茎とにはっきり分かれているセン類の一種です。コケとは思えないほどの大型で、見た目は草のような日本では最大級のものです。大きさは5~10センチほどで、1本1本が独立した普通のコケのように見えますが、実は仮根をもつ地下茎で、すべてつながっています。
コケには根がなく、水や栄養は葉や茎から直接取り込みます。地下茎から直立した2次茎(地上茎)を出し、茎の上部に緑色の2~4センチほどの細かい羽状の葉を密に出します。コケ全般の花言葉は「母の愛」です。
写真上は9月初め、中・下は11月末の撮影。 (T記)
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