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高野の花たち(249)クズ、花言葉に恋のため息も 

クズはマメ科の多年草で蔓(つる)植物です。和名の葛はくずかずらの略で、吉野の「国栖(くず)」の山人が、葛粉を作って売りさばいたことに由来するといわれています。
日本では8世紀ごろ、既に「黒葛」として風土記に記されており、奈良時代の歌人・山上憶良(やまのうえのおくら)の歌にも秋の七草のひとつとして詠まれています。
日当たりのよい山野に育ち、晩夏から秋にかけて10メートル近くツルが伸び、大型の三枚葉があたり一面をおおいつくすほど生命力が強く、旺盛な繁殖力を持つ植物です。
夏の終りに葉のわきから花序を出し、紫赤色の蝶形の花を密につけます。よく見ると花はとても美しく、ワインのような香りがします。
農学博士・稲垣栄洋(いながき・ひでひろ)氏の著書によると、クズは夏の日盛りには葉を上に立て、閉じて昼寝をするそうです。
これは、あまり光が強いと光合成の能力を超えてしまうからで、夜になると光合成ができないので、今度は葉を垂らして閉じるそうです。実に「エコ」な生活をしているのです。
今は雑草として悪名高きクズですが、晩秋には根の中にたっぷり葛澱粉を貯え、葛切りや葛餅、葛湯の材料になります。また、風邪薬の葛根湯も、字のとおりクズの根から作られます。
花言葉は「活力」「芯の強さ」「治癒」「恋のため息」です。写真は高野山大門と光の滝付近での撮影です。 (T記)


更新日:2020年11月27日 金曜日 21:59

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