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世界遺産・高野山「町石道」壊す!80代男刑事告発
世界遺産・高野山の参詣道である「町石道(ちょういしみち)」(国・史跡)を毀損(きそん)したとして、同県かつらぎ町は6月18日、80歳代の男性を文化財保護法違反容疑で県警かつらぎ署に刑事告発した。
町石道は、同県九度山町の女人高野別格本山・慈尊院から高野町の高野山・大門~壇上伽藍・根本大塔に至る約24キロの参詣道。その1町(109メートル)ごとに計180基の道標(石製の卒塔婆)が建ち並ぶ。
高野山の開祖・弘法大師(空海)が、女人禁制のため山麓の慈尊院で暮らす母と会いに毎月9度、町石道を下山したとされ、お遍路姿など多くの参詣人が往来している。
かつらぎ町教育委員会の説明によると5月21日、「町石道の一部が、男性に壊されている」と連絡があり、調査の結果、同町内を通る121町石~141町石(約2キロ)間の計12カ所で、溝状に掘削され、周囲には置き石、盛り土もされていた。
毀損したのは紀北地方在住の80歳代男性とわかり、同署へ刑事告発することにした。
同町は毎月1回、2~5人が町石道のパトロールや清掃、倒木処理などを行っているが、4月は新型コロナウイルスの関係で休止していたため、実態把握ができなかったという。
地域住民の間では「素晴らしい国の史跡が、この毀損(きそん)行為により、世界遺産登録から除外されないか、とても心配」という声が出ている。
同町教委の池田八主雄(いけだ・やすお)教育長は「町石道は住民だけでなく、世界の人類の財産であり、今回の行為は誠に遺憾です。関係機関と連携して早期復旧、再発防止に努めたい」と話した。
写真は80歳代男性が勝手に掘削・盛土した高野山参詣「町石道」の現場状況=かつらぎ町教委・提供。