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昭和の腕用ポンプ寄贈♪堀畑氏・橋本消防文化伝承に
「ふる里の消防文化伝承に役立てて」と、和歌山県橋本市隅田町中島の特別養護老人ホーム「ひかり苑・天佳苑」=堀畑光久(ほりはた・みつひさ)理事長=は、長らく施設内に飾っていた昭和初期の「腕用(わんよう)ポンプ」を、橋本市=平木哲朗(ひらき・てつろう)市長=に寄贈した。
腕用ポンプとは、明治~大正~昭和中期、リヤカー状の台車で火災現場へ運び、数人がかりでシーソーのようにテコを上下させ、そのパワーで放水した人力・消火機材である。
今回、寄贈された腕用ポンプは、鉄と真鋳(しんちゅう)製で、高さ約1メートル、長さ2メートル余り。本体の側面には「山田村警防團第六分團」「昭和三年三月新調」と記され、当時の伊都郡山田村の消防団=現・橋本市消防団第3分団2部2班(同市神野々)=に配備されていた。
昭和30年代には、超能力の新鋭・消防車の導入に伴い、この腕用ポンプは不要になり、長らく車庫に眠っていた。
堀畑理事長は平成11年(1999)春頃、地元住民から活用方法について相談を受け、同老人ホーム玄関に展示して、高齢者に披露してきた。最近は腕用ポンプに思い出のある高齢者も減ってきたため、寄贈を決めたという。
橋本市では、この腕用ポンプを消防本部玄関内に展示。壁面には腕用ポンプの概略紹介とともに「配備以来、戦前・戦中・戦後の動乱の中、幾多の火災に出動し、多くの人命、財産の保護に活躍しました」と説明文を掲示している。
平木市長は市長室で、堀畑理事長に感謝状を贈呈した後、「市内のこども園の園児や小学生たちが、消防訓練の見学・体験に来るので、その時に腕用ポンプを紹介して、大切な消防文化を伝えたい」と謝辞を述べていた。
写真(上)は消防文化伝承に大切な腕用ポンプ。写真(中)は寄贈者の堀畑理事長=右=に感謝する平木・橋本市長。写真(下)は橋本市消防本部玄関内に展示された腕用ポンプ。