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真田紐の「糸」を奉納♪機織り女神に九度山の研究会

戦国武将・真田幸村ゆかりの和歌山県九度山町の住民有志でつくる「九度山真田紐(さなだひも)研究会」は、約100年ぶりに復活栽培した、貴重な綿で真田紐の糸を作り、6月10日、かつらぎ町上天野の丹生都比売(にうつひめ)神社に奉納して、幸村にまつわる伝統文化の復活・継承を誓った。
真田昌幸・幸村父子は、関ヶ原の戦いで敗北、九度山に閉居した。その厳しい生計と情報収集のために、家来たちに真田紐づくり、売り歩きをさせたという。紀の川上流の九度山では、江戸時代から明治末期にかけて、「川上木綿(かわかみもめん)」が栽培され、真田紐も昭和55年(1980)頃まで紡がれていたらしい。
同研究会は平成26年(2014)、真田紐の再興をめざして結成。現在会員14人。これまで既成の糸で真田紐を織り上げ、ストラップなどに加工・販売していたが、2年前、最初から手掛けようと発起。真田紐工房の裏の畑で綿を栽培して収穫し、布団店を営むメンバーの協力で、種や不純物を取り除いて、綿打ちをし、初めて本来の糸を紡ぎ上げた。
この日、前滝悟(まえたき・さとる)会長ら会員11人と高野山町石道語り部の会の森下稔(もりした・みのる)会長、県職員2人が、九度山の真田紐工房を出発。丹生官省符(にうかんしょうぶ)神社まで、奈良時代の女性史ヒロイン・中将姫ゆかりの「糸の細道」の一部を歩いた後、車で丹生都比売神社に到着した。
前滝会長らが持参した真田紐の「糸」は、紙筒に巻かれた1個(約50グラム)で、紀州高野紙製の和紙箱に収納。糸は今年3月に綿を紡ぎ、4月に同町椎出の寒緋桜(かんひざくら)で草木染めした淡いピンク色。一行は丹生都比売神社に参列し、神職のお祓いを受けた後、真田紐の「糸」を奉納して、深々と頭を下げた。
同神社の祭神は、天照大御神(あまてらすおおみかみ)の妹で、機織り女神・稚日女命(わかひるめのみこと)とも言われ、会員の青木美佳(あおき・みか)さんは「昔の綿栽培から、いい真田紐をつくり、農耕・機織りの女神の稚日女命に、ご報告できて有難いです。これからも真田紐づくりを極め、奉納させていただきたい」と誓い、丹生晃市(にう・こういち)宮司は「稚日女命に奉納していただき、とてもうれしいです。真田紐が当神社の授与品ともなりますよう、一層、ご尽力ください」と激励していた。
写真(上)は真田紐の「糸」を奉納した研究会会員の青木さん=左=と激励する丹生宮司。写真(中)は研究会がつくった真田紐の糸。写真(下)は真田紐の「糸」を奉納して頭を下げる研究会の会員ら。


更新日:2019年6月11日 火曜日 00:12

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