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平成~令和へ梵鐘撞く♪高野口・弘法寺で郷土史家ら
和歌山県橋本・伊都地方の地域放送局・FMはしもとの番組「紀州ヒストリア」の出演者らは、4月30日、鎌倉時代の梵鐘(ぼんしょう)のある、橋本市高野口町上中の高野山真言宗・弘法寺(こうぼうじ)で「平成最後の鐘撞き」をした。郷土史家の瀬崎浩孝(せざき・ひろたか)さんは「平成ありがとう、令和よろしく、という心で鐘を撞き、その響きを胸に収めました」と話していた。
この日、FMはしもと社長の向井景子(むかい・けいこ)さんは、「紀州ヒストリア」番組製作のため、出演者で橋本市文化財保護審議委員会元委員長の瀬崎さんや、公益財団法人奥田育英会理事の松永定治(まつなが・さだはる)さん、信太地区区長会長の赤井正憲(あかい・まさのり)さんらと共に弘法寺を訪れた。
同寺境内の鐘楼に吊るされた梵鐘(ぼんしょう)は、鐘身高69・7センチ、口径48・8センチの小形。承久3年(1221)に河内国狭山庄の勝国寺で造立され、その後、高野山・蓮上院を経て、弘法寺へ移された。高野山・金剛三昧院の梵鐘に並ぶ古鐘=県指定文化財=である。
高台に石垣を築いた弘法寺からは、霊場・高野山や大峯山が一望でき、周辺は木々の若葉に覆われ、春は桜、今はツツジが咲き誇っている。
出演者らは向井さんの差し出すマイクに向かって、密教の五輪塔は下から上へ「地」「水」「火」「風」「空」とあるが、実は地下へも「地」「水」「火」「風」「空」とある不思議さや、境内に建つ「法華経 一宇一石塔 文政11年」と彫られた石塔の地下には、願い事を墨で記した小石が沢山あることなど、郷土の歴史を語り合った。
「平成最後の鐘撞き」では、各自、撞木(しゅもく)の紐を持ち、大きく息を吸って梵鐘をつくと、鐘は小さいながらも、心の奥に殷々(いんいん)と響きわたり、命の有難さ、令和時代への思いを感じさせた。
この滅多にない記録写真の撮影に来ていた、フォトライターの北森久雄(きたもり・ひさお)さんは、「やはり、平成最後の鐘撞きは、素晴らしかった。令和時代をいい世の中に。それに、こんな素晴らしい寺が、橋本にあったとは。ぜひ、写真で広報していきたい」と話すと、向井さんは「とても大切ですよね」と、相槌(あいづち)を打っていた。
写真(上)は平成最後の弘法寺の梵鐘を撞く瀬崎さん。写真(中)は鎌倉時代の古鐘のある弘法寺。写真(下)は同梵鐘を撞く向井さん。