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岡博士の「情緒の道」歩く♪春雨村塾など20人墓参
世界的超1級の数学者・岡潔(おか・きよし)博士(1901~78年)のふる里、和歌山県橋本市柱本紀見峠で4月8日、「岡潔・紀見峠顕彰碑ウォーキング」が行われた。岡博士を学ぶ橋本市岡潔数学WAVEや奈良市の「春雨村塾(しゅんうそんじゅく)」の約20人が参加して、桜満開の自然情緒を堪能した。
このウォーキングは、橋本市岡潔数学WAVE理事で橋本観光ガイドの会の森脇稔(もりわき・みのる)さんが企画・担当し、森脇さんと小学校時代の同級生で岡博士の次女の松原さおりさんも参加した。
紀見峠の茶屋「丹波屋」に全員集まり、昼食しながら歓談。森脇さんは童話作家・佐藤律子(さとう・りつこ)さんの「岡潔シンポジウム」(東京)パネラー参加や、好評だった「岡博士パネル展」については、改めて開催したい意向を伝えた。参加者からは遅れている「岡潔博士の記念館設置」について、「急がなければ」という意見も出された。
一方、数学WAVEの奥村浩章(おくむら・ひろあき)副会長は、「岡博士は松下村塾で弟子を育てた吉田松陰を尊敬され、奈良の自宅で『春雨村塾』を開講された」と説明。
その上で「岡博士の『人を先にして自分を後にせよ』などの金言を『かるた(百人一首)』にして、子供たちの心の教育に役立てたい」と述べると、松原さんは「松陰神社の青田國男(あおた・くにお)宮司の岡潔『金言暦(きんげんごよみ)』を参考にされては」と提案。奥村さんは「ぜひ参考にして実現したい」と語った。
近くには「岡潔 数学史上最高の世界的数学者で先覚者 最初の橋本市名誉市民」と刻んだ顕彰碑や、岡博士の顔と論文(フランス語の手書きの清書稿)を彫った石碑が建ち、山腹には岡博士一族の墓所がある。
一行は昼食後、顕彰碑を拝観。さらに急坂を登って岡家の墓所を訪れた。墓石には「春雨院梅花石風居士 春日院藤陰緑風大姉」(戒名)や「めぐり来て梅懐かしき匂ひかな 潔」などと刻まれている。
墓地には白い菫(すみれ)、近くには山桜が咲き、眼下には紀の川流域のまち、遠くには高野山が青く霞んでいる。
松原さんは墓に供花した後、参加者とともに手を合わせて、岡博士の冥福を祈り、「きょうは天気もよく、見晴らしも最高です。山桜が美しいうえに、鶯の声も聴こえてきます。父もきっと喜んでいます」と話していた。
岡博士は紀見村で幼少期や中学時代を過ごし、京都帝国大学に学び「多変数函数論」を発表。「世界の天才数学者でも1問解くのに100年かかる」と言われた世界3大難問を1人で解いた超天才。文化勲章受章者で橋本市名誉市民。
写真(上)は紀見峠の岡潔博士の顕彰碑を眺める橋本市数学WAVEや奈良市の春雨村塾の人たち。写真(中)は岡家の墓所で岡博士らの冥福を祈る松原さおりさん=左から3人目=ら。写真(下)は岡博士を偲びながら紀見峠を歩く参加者たち。