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変状・恋野橋を撤去!新橋の完成急ぐ~県・安全第一
橋脚が変状して全面通行止めになっている、和歌山県橋本市の紀の川の「恋野橋」について、和歌山県伊都振興局は11月20日、同橋の撤去作業を進めるとともに、すぐ東隣で建設中の新しい「恋野橋」の早期完成を目指す、と発表した。また、上流約500メートルに架かる「紀の川水管橋(すいかんきょう)」(農業用水路上の通路)の活用なども視野に、流域住民の不便解消に努める方針だ。
既設の恋野橋は県道の一部で、昭和29年(1954)度に架橋。長さは約142・1メートル、車道幅は上下計4・5メートル、歩道幅2メートルの規模。道幅が狭く普通乗用車の対向走行ぎりぎりの状態だった。
そこで和歌山県は同28年(2016)9月、すぐ東側で「新恋野橋」架橋工事に着手。橋の長はさ約173メートル、車道幅7・5メートル(2車線)。すでに河川内には高さ約21メートルの橋脚2基(コンクリート造り)、北岸・南岸にも橋台1基ずつ築造し、今後、鋼鉄製の橋梁本体工事を進めて、「2020年春の完成」を目指している。
県は恋野橋の橋脚・橋面の変状(へんじょう)を確認、危険を察知して11月2日、全面通行止めの措置を講じた。変状原因は不明だが、今夏の台風による増水で、橋脚付近の川底の砂が、大きく削られた可能性があると見られている。
同橋の北側には市立隅田中学校、JR和歌山線・隅田駅、スーパーマーケット、スーパー銭湯、商店街、飲食店などがあり、とくに同橋南側の恋野地区住民の暮らしを直撃した。
隅田中学に通う生徒18人は、保護者の車や同市コミュニティーバスで登下校。12日以降は下校時のみタクシーを利用し、いずれも同市が費用負担。住民はマイカーで西約3・7キロの橋本橋か、東約2キロの阪合部橋(さかいべばし=奈良県五條市相谷町の)へ迂回している。
伊都振興局の説明では、大きく変形した恋野橋は、その橋脚部分をコンクリートで固定して、鉄骨橋梁などを安全に撤去。新しい恋野橋の建設を同時並行で急ぐ。
「紀の川水管橋」(長さ約120メートル、幅約1・5メートル)は、農林水産省が所有し、紀の川用水土地改良区(紀の川市)が管理。通行は関係者に限られているが、橋の両サイドに転落事故防止用の柵を設けて、一時的「う回路」となるよう関係者と検討中。これとは別に「仮通路(かりつうろ)」の架設も考えているという。
新谷垣内真琴(しんやがいと・まこと)局長は「安全第一に橋梁を撤去するとともに、新しい橋をなるだけ早く完成させ、それまでの間、地元の方々に説明しながら、最善策を講じていきます」と話した。
写真(上)はかつて見えた橋の北端がまったく見えなくなるまで変状した恋野橋=南端側から撮影。写真(中)は橋脚が割れ橋面が変形した恋野橋=下流より。写真(下)はう回路として検討中の紀の川水管橋。