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山越阿弥陀図に合掌♪企画展・高野山麓の極楽浄土

高野山の麓(ふもと)の阿弥陀仏(あみだぶつ)信仰を伝える企画展「高野山麓の極楽浄土」が、和歌山県橋本市御幸辻786の杉村公園内にある橋本市郷土資料館で開かれている。古い阿弥陀図(掛け軸)や石碑写真などが展示され、企画した奥裕香子(おく・ゆかこ)学芸員は「人々の極楽浄土へのあこがれや、祈りのかたちを、ぜひご覧ください」と言っている。3月31日(土)まで。観覧無料。
阿弥陀仏信仰とは、「南無阿弥陀仏」(心から阿弥陀仏を信じます)と唱えると、その誰もが臨終の際に、厳かな阿弥陀如来が観音菩薩や勢至菩薩などの聖衆とともに現れ、極楽浄土へ導いてくれるという信心。
平安時代の末法思想(釈迦の教えが正しく伝わらない)の中、高野山麓では、この阿弥陀仏信仰が貴族、そして庶民へと広がり、ひたすら高野詣・熊野詣により、極楽往生出来るよう祈ってきたという。
今回の企画展では平安時代~江戸時代の「山越(やまごえ)阿弥陀図」(紙本著色=しほんちゃくしょく)や、阿弥陀三尊来迎図(らいごうず)、法名軸(ほうみょうじく=軸状の過去帳)、阿弥陀如来坐像、六字名号碑(ろくじみょうごうひ)の写真など、同資料館や念仏講、各地区所蔵の計約40点を展示した。
たとえば「山越阿弥陀図」は、なだらかな山の向こうから、阿弥陀如来が慈悲にあふれた顔を見せ、山の手前右側では観音菩薩、左側では勢至菩薩が微笑む。「阿弥陀三尊来迎図」は、三尊が雲上に立ち、観音菩薩は人々を救う蓮台を持ち、勢至菩薩は合掌している。
「六字名号碑(ろくじみょうごうひ)」は、石に「南無阿弥陀仏」と刻まれ、大念仏講や六斎(ろくさい)念仏講などが建立、「念仏衆はこの名号に節をつけて唱えた」と表示。法名軸(軸状の過去帳)には名号とともに多くの戒名が記されている。
弘法大師・空海が開いた高野山は、神仏習合の真言密教の聖地である。奥学芸員は「今回の企画展は、宮本佳典(みやもと・よしのり)橋本市文化財保護審議員や、関係市民のご協力で開催できました」と説明。
「高野山周辺の地域で、なぜ阿弥陀仏が深く信仰されてきたか。そこには、人々の極楽浄土へのあこがれや、真言密教との素晴らしい融合が感じられます」と話していた。
同館の開館時間は午前9時~午後5時(受付=同4時40分)。休館日は月曜日と祝日の翌日。
写真(上)は「山越(やまごえ)阿弥陀図」。写真(中)は企画展「高野山麓の極楽浄土」。写真(下)は法名軸(軸状の過去帳)。


更新日:2018年2月9日 金曜日 00:00

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