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ゴンちゃん袈裟衣と光背輝く♪慈尊院の高野山案内犬
和歌山県九度山町の女人高野・別格本山「慈尊院(じそんいん)」に祀られている、今は亡き高野山案内犬「ゴン」の彫像が、「戌年(いぬどし)」の今年、金色の袈裟衣(けさごろも)と、満月のような光背(こうはい)に飾られ、多くの参拝・観光客から「まるで弘法大師・空海に仕える高僧のようですね」と、讃えられている。安念清邦(あんねん・せいほう)住職は「全国の皆さまに愛されたゴンちゃんです。とくに戌年の今年は、ゴンちゃんの奉仕的な心を感じていただければ」と言っている。
ゴンちゃんは紀州犬と柴犬の雑種。昭和63年(1988)春、慈尊院に住みつき、大勢の参拝者を高野山(標高約850メートル)の金剛峯寺・壇上伽藍・奥の院まで、町石道(ちょういしみち=計約24キロ)を案内。「お大師様の使いの名犬」として愛され、平成14年(2002)6月に老衰のため永眠。同院は境内に高台を設け、そこに弘法大師・空海と、そのそばに鎮座(ちんざ)する「ゴンの石像」を建立、ゴンの偉業を讃えてきた。
安念住職は戌年を機会に「ぜひゴンちゃんを盛り立ててほしい」と提案、地元在住で高野山真言宗の寺院住職の妻が協力し、昨年12月末、袈裟衣や光背を手作り提供した。
石の台座に座り、遠くを見つめる等身大のゴンちゃんは、綺麗な袈裟衣に身を包み、こうこうと輝く満月のような光背(直径約1メートル、厚さ約2センチの板製)に飾られ、これまで以上に可愛くも威厳のある姿を現した。
平成30年(2018)元旦、そして松の内…と、全国から同院を訪れる参拝・観光客は、女人禁制のため同寺院に滞在した弘法大師・空海の母・玉依御前(たまよりごぜん)を祀る本堂に参拝。その後、必ずといっていいほど、ゴンの石像に近付いて、「ゴンちゃん安らかに…」「今年も私たちを守ってね」などとお願いしている。
ゴンちゃんの活躍については、シンガーソングライターの妙佳(taeka)さんが、橋本市隅田町の画家・信木俊輔(のぶき・しゅんすけ)さんの絵、妙佳さん文による紙芝居「高野山案内犬ゴンのお話」を上演したり、群馬県伊勢崎市の尼僧・芳賀妙純(はが・みょうじゅん)さんが、各地で講話したりするなど、次世代に語り継がれている。
安念住職は「ゴンちゃんは生前、新聞・テレビで全国に紹介され、すっかり有名になりました。今年はゴンちゃんの功績をしのび、そのゴンちゃんから幸せをもらってください」と話していた。
写真(上)は子供たちにも愛される慈尊院のゴンちゃんの石像。写真(中)は袈裟衣と満月の光背に輝くゴンちゃん。写真(下)はゴンちゃんから幸せをいただく女性たち。