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高野山周遊はEV車でどうぞ♪観光協会レンタル開始
弘法大師・空海が開いた世界遺産・高野山(和歌山県高野町)を、小型電気自動車「EVこうやくん」で周遊してもらおうと、一般社団法人・高野町観光協会はEV車レンタル事業を立ち上げ、8月6日(日)から、「EVこうやくん」の貸し出しを開始した。同観光協会の加藤栄俊(かとう・えいしゅん)代表理事(高野山・常喜院住職)は「高野山内の聖域を守る交通渋滞解消や、空気清浄化を目指す試みであり、多くの皆様にご協力をお願いしたい」と言っている。
この「EVこうやくん」のお披露目式&安全祈願祭が8月5日、高野山真言宗・金剛峯寺前の高野町観光協会わきで開かれ、導師の高野山真言宗の添田隆昭(そえだ・りゅうしょう)宗務総長ら僧侶8人と、同観光協会や県・市、電気自動車関係者ら約20人が参集。先ず全員で「EVこうやくん」の利用客らの安全を祈願した。
「EVこうやくん」は前1輪の3輪車で4人乗り。フロントガラスと屋根はあるが、左右と後部はオープン形式。100パーセント電気で走行。CO2(二酸化炭素)排出はゼロで、モーターは静かに作動する。
車体前部には、高野町観光・広報大使「こうやくん」のイラスト、サイドには可愛いお地蔵さんの絵と「はーとfull高野山 日々是好日 KOYA BLOG」と表示した。
高野町観光協会が、「MITSUOKA EV和歌山 (株)なかモーター自工(紀美野町)」から業務委託を受けて、レンタル事業を実施。金剛峯寺前の駐車場を隔てた向かい側にある同観光協会前に「EVこうやくん」3台を用意。希望者に活用してもらう。
「お披露目式」では、藤森弘之(ふじもり・ひろゆき)伊都振興局長や、平野嘉也(ひらの・よしや)高野町長ら関係者が、「EVこうやくん」に乗り込み出発。奥ノ院一の橋までの往復約8キロを走行して、その楽しい光景を報道陣に披露した。
高野山は標高約850メートルで、金剛峯寺を中心に奥の院御廟(ごびょう)、壇上伽藍(だんじょうがらん)とともに、数珠や胡麻豆腐など多くの老舗が林立する、全国でも稀(まれ)な宗教都市。とくに平成16年(2004)に世界遺産に登録され、同27年(2015)には、高野山開創1200年記念大法要を営み、国内外から多くの参拝・観光客が訪れている。
加藤・代表理事は「とくにお盆や秋の観光シーズンなどには、交通渋滞が著しくなり、化石燃料で空気も汚れます。高野山の聖域を守るためにも、環境にいい小型電気自動車が最適です。果たして参拝・観光客やドライバーらに受け入れられるかどうか。アンケート調査も実施し、皆さまの賛意を得られれば、レンタルEV車の台数、その駐車場も増やしたい」と語った。
藤森局長は「山麓地域では世界遺産をめぐるアクセスバスを走らせる予定であり、高野山でのEV車導入は未来を先取りした取り組み」と話し、平野町長も「私は人力車が走れるようにと道路舗装してきましたが、もちろん電気自動車の導入も素晴らしい」と称賛。県と町も協力を誓い合った。
この日「EVこうやくん」で、山内を周遊した株式会社・光岡自動車の光岡進(みつおか・すすむ)取締役会長は、「女性や子ども、それに外国から来た人たちが『わあ素敵』と手を振ってくれました。このEV車で走ると、心身に風を受け、高野山の歴史や自然をゆったり感じられます。きっと素晴らしい世界が広がることでしょう」と話していた。
「EVこうやくん」を借りて運転する場合は、普通自動車の運転免許証、訪日外国人の場合は国際運転免許証が必要。周遊範囲は山内の約4キロ四方。高野山宿坊協会や奥の院、壇上伽藍(中門)前の3か所に「EVこうやくん」専用駐車場があり、そこに止めて観光することができる。
レンタル料金は3時間以内で1台3000円(税込)、30分延長ごとに500円を追加、最長6時間まで利用可能。申し込みは高野町観光協会(電話=0736・56・2468、FAX=0736・56・2481)へ。
写真(上、中)は「EVこうやくん」と安全祈願する僧侶や関係者。写真(下)は「EVこうやくん」に初乗り披露する平野町長ら。