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天野米の「水田」に心洗われ♪丹生都比売神社近く
世界遺産・高野山真言宗総本山・金剛峯寺の「御用達米(ごようたつまい)」に認定されている「天野米(あまのまい)」の産地、和歌山県かつらぎ町天野の天野盆地で、今、田植えが始まり、下界にない初夏の情景が広がっている。〝天野の里〟には、弘法大師・空海に神領・高野山を貸与した丹生明神(にうみょうじん)を祀る丹生都比売神社があり、大勢の参拝・観光客が、情緒豊かな天野の水田風景に心和ませている。
天野盆地(標高約450メートル)は、高野山(同約850メートル)のほぼ中腹地点で、紀の川支流の貴志川の最上流部。稲作に適した土と、きれいな水のお陰で、良質米が育まれる。
今、天野盆地のほとんどの田んぼは、たっぷりと水を湛(たた)えていて、昔のように牛馬に鋤(すき)を引かせるのではなく、トラクターが力強く代掻(しろか)き。水で土を練り上げるように、水田を平らかにならしている。
その水田には、周囲の山々や農家の佇(たたず)まいが、まるで〝逆さ富士〟のように映り、畦道ではタンポポの穂綿(ほわた)がとび、あちこちで無数の蛙(かえる)が大合唱。苗を植えたばかりの植田では、風波の寄せるのが見える。
天野の里では、平安時代の歌人・西行法師(さいぎょうほうし)の妻娘(さいし)が生活、高野山にいた西行法師が再三、下山して寝食を共にしたとされ、今は妻娘の墓があり、西行庵もある。
大勢の参拝・観光客は、丹生都比売神社で心洗われ、水田風景に心癒され。「西行法師が、妻娘と団欒(だんらん)を楽しんだのが、よくわかる」と心打たれている。
JA紀北かわかみによると、「天野米」は平成16年(2004)9月に「高野山・金剛峯寺の御用達米」に認定され、ブランド品「天野米」(栽培品種=キヌヒカリ)として、JA店舗で販売。「米は美しく輝き、ソフトな粘りがよく、おいしい」と脚光を浴び、新米の収穫期には注文が殺到するという。
写真(上、下)はタンポポの穂綿の畦道や山影の映る天野盆地の水田風景。写真(中)は力強く水田を掻きならすトラクター。